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June 07, 2014

ポプコーンの思い出

ポプコーンの思い出
ポプコーンをたべるとき、いつも思い出すのは、父だ。
父は仏頂面で寡黙で、いつも眉間に皺を寄せていた。そんな、苦虫を噛み潰したような顔が、私が子供の頃から知っている、父の顔だ。

その父の相好が崩れる数少ないとき、そのひとつが、ポプコーンをほおばる時だった。

夜遅く、研究室から父が帰ってくる。起きていたのか起きてしまったのか、私と弟も一緒にこたつに入ると、母がアルミでできたフライパンみたいな、バターたっぷりのポプコーンをつくってくれて、みんなで食べる。父が笑っている。
いま親になってから思うと、あの笑顔は私たちの喜ぶ顔に向けられたものだったのだろうと思う、けれども私たちは、父はポプコーンが好きなのだと思った。

なかなか家にいない人だったからこそ、父の笑顔は貴重だった。

夜に帰ってきても、夕食後に母が車でまた山の上の研究室に送っていく。小学校の低学年までは一人で待つのが寂しくて何度もついていった。その道は、大人になって有名な心霊スポットだったと知ったのだけど、私には、父と母の背中を車の座席越しに見つめた思い出の、なつかしい道だ。
同じ家に暮らしていても、2週間一度も顔を見ない、なんて、珍しくなかった。

だから、ポプコーンの思い出は、貴重な父の笑顔と一緒に刷り込まれているから、なんだか特別だ。映画をみるとき、アメリカ暮らしのとき、休日のおやつ。ポプコーンは、私の大好きな食べ物になった。

この年になってはじめて、フライパンでふつうにつくるのを覚えた。
いままでは、チン、とか、アルミでできたフライパンみたいなのとかばかり。
でも、「グレーテルのかまど」を見て、フライパンで簡単に作れるんだって知って、それからずっと、こればかり。うちはIHヒーターだから、温度があがりすぎないのがいいみたいで、なかなかうまくいく。

フライパンでつくると、弾けるポプコーンの音が、昔の思い出もぽんぽん弾けさせるようです。
かまど、では、マイケルジャクソンの特別な食べ物だったんだけど、私にも、大好きな食べ物。

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