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March 11, 2012

新プロジェクト、始動します。

一年前のあの日のこと。
一分一秒、克明に思い出すことができます。
ぼこぼこに沸き立つような石畳のゆれも、子どものいる幼稚園に走った視界が、右や左にねじれながら見えたことも。

きっと、忘れられるひとなんて、いません。
忘れることなんて、できません。

いまだ復興から遠い東北のまちを思って、なんともいえない気持ちになることも、この一年という期間にいったいどれだけあったことでしょう。
ゆかりのあるものとして、なにかをしたいと思っても、具体的な一歩が踏み出せずに、先にすすんでいってくれているひとたちの応援側にまわって、ひたすら祈りをささげていました。

今日からは、私も、ちいさくではありますが、「なにかする」ひとの方に、まわります。
新プロジェクト、始動です。
宮城県の復興支援事業に着手します。
この記事、プレスリリースの、つもりです(笑)
といっても、私は、お手伝い。
主役は、母です。
このプロジェクトのために(?)、昨年秋、母はいままでの組織を株式会社化しました。

彼女は、震災後、ひとりで「みどりの手をつなごう」プロジェクトというのをはじめました。
上級ハーブインストラクターであり、登録園芸療法士である彼女は、花やハーブ、野菜などの種や苗を、必要とするひとに届ける支援プロジェクトを、被災者の心身のケアのためにと考えました。
全国各地のハーブ関係者に連絡をとって、そこに共感してくださる方、札幌から沖縄まで各地の人が、物資の支援をしてくださり、ボランティアとして力を貸してくださいました。
支援に訪れたのは、石巻、気仙沼、唐桑、仙台など。
津波で被害が多かった土地には、とくに足しげく通いました。
震災で心に傷を抱えた障害者施設の子どもたち向けのワークショップにも、積極的に出かけました。
個人の方から問い合わせがあれば、ひとりひとりの要望を聞いて、必要なものを募り、届けました。
ちいさな我が家のリビングが、まるで支援センターのように100個以上のダンボールであふれかえっていました。
塩害につよい植物を淡路島から取り寄せたり、以前デザインを手がけた気仙沼のハーブガーデンで津波にも耐え抜いて残っていたハーブの苗を大切に世話したり、宮城大学主催の被災者と支援者向けの「疲労回復セミナー」で暮らしの中に取り入れやすいハーブやアロマの効用と使い方を伝えたり、津波に強い植物を植樹する「いのちの防潮堤」プロジェクトにコアメンバーとして関わったり、全国唯一の被災支部として、全国のハーブの組織に、被災地の情報を発信し続けることも、行ってきました。


一年が経ち、少しずつ、被災地の様子もかわってきています。
母も、緑の支援の中から、宮城の県産品を用いた商品開発を考えはじめました。
それがこのプロジェクトです。
秋頃に相談を受け、ブランディングやネーミング、ロゴデザイン、商品企画、いろいろな形で私が全面的に関わっています。
ようやく、なにかしらのお役にたてる時が、やってきました。
どちらかというと苦手意識のある故郷だけれども、ゆかりあるものとして、できる限りのことはしたい。
まだまだ、スタートしたばかりですが、母とふたり、無理ないペースで、少しずつ進めていく予定です。

- 現在登録商標出願中につき詳細はまた後日改めます -

折しも母が支援に訪れていた石巻の施設が、作業所でつくったものを販売するお店を本日2012年3月11日にオープンすることになり、そこに商品を卸すことが決まりました。
「どこにもうっていないような、ちょっといい、ちょっとすてきな、そんなものをおこう」
それが、お店のコンセプトだそうです。
母の考えともぴったり一致していて、とても楽しげに、その計画は進んでいます。
石巻の教会のそばに、お店はあります。
たったひとつのもの、はじめの一歩、復興への一歩として、「ICHI」と名付けた、ショップ&カフェです。
(お近くにお運びの際には、ぜひ覗いてください)

商品の制作には、東北のおかあさんたちの力を借りる予定です。
商品は少しずつ増やしていく予定ですが、母の怪我のため、商品実物のご紹介はもう少しあとから。
完成したらその都度、ご紹介していきますね。
少しずつではありますが、いろいろなことを、いま、考えています。
私も、すでにある社会の仕組みの中でまっとうに働くことは難しいけれども、母の手伝いくらいなら、少しは役にたてるかもと思って。
無理ないペースで、ひとりひとりのなにげないちいさな幸せをとりもどす、お手伝いをしていきたいと思います。

以下、昨年10月に母が淡路島のシンポジウムで「みどりの手をつなごう」プロジェクトの発表を行ったときに、私がゴーストライターとして書いた文章を、引用します。
被災地にいるひと、被災地からはなれて被災地をおもうひと、空の上のひと、その誰もに、敬意と祈りを捧げます。

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国や自治体が行う、大きな規模の復興。
一人ひとりが行う、小さな規模の復興。
そのどちらもが、ひとつひとつ、大切な過程となり、結びあわされていきます。

3.11までに営まれていた「なにげない日常のしあわせ」、
それを同じ形で再び手にする日は、もう少し先にあるのかもしれません。

ですが、形は少しちがっていたとしても、
「なにげない日常のしあわせ」がもうないわけではないこと、
それに気がつけるくらいまで、気持ちが元気になること、
そうしたことが今、とても必要であると思います。

花の香り、緑の葉をなでる風の音、新芽のやわらかさ、花の色鮮やかさ。
植物は変わらずに時を刻み続け、生きる力を静かに語りかけています。

自分の手で植物を育てる楽しさ。
種まき、苗植え、日々のお世話を通して交わす、仲間とのコミュニケーション。
緑多き町並みの、景観の美しさ、
なにより、植物の、生命の育みからいただく、生きる元気。

花やハーブなど、みどりの支援で、
心と体を健やかにつないでいきながら、
ともに復興していきたいと思います。

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Comments

すばらしい!
本当に、すばらしい。
なにか私が力になれることがあれば、いつでも声をかけてください。

Posted by: sawa | March 11, 2012 at 09:02 PM

お母様とzokさんのエネルギーに頭が下がります。
樹々の芽や明るい春の花が開き始めたこの季節にスタートするプロジェクト。
おめでとう!
私もお手伝いさせてくださいね。

Posted by: suzueri | March 12, 2012 at 09:17 AM

ステキだねぇ。
応援しますよ♪わたし、レモンバームが好きなんだぁ~。
商品、ご紹介くださいね。

Posted by: yumi | March 12, 2012 at 05:56 PM

sawaさん、suzueriさん、ありがとうございます!

つくってくれるひと、
かってくれるひと、
その両方がしあわせになれるような、
そんなものづくりをできたらいいなと思っています(^^)
がんばります♪

Posted by: zok | March 12, 2012 at 05:57 PM

yumiさん、ありがとうございます♪
レモンバームいい香りですよね~。レモンバームのハーブティは、南仏では一番のまれているお茶だと、南仏出身のフランス人が教えてくれました。
商品ご案内ぜひぜひさせてください♪

Posted by: zok | March 12, 2012 at 05:59 PM

お母様もzokさんも…そんな活動を準備されていたのですね…さすが…親子。笑

心身ともに緊張のネジにキリキリと巻き上げられていた昨年の遅い春、定禅寺通りの欅並木と、実家の庭の新緑に、どれだけ呼吸を、心を、楽にさせてもらったか知れません…。お母様とzokさんのプロジェクト、必要とされている方、思いがけず心を慰められるきっかけとなる方、たくさんいらっしゃると思うな。

何かお手伝いできることがあったら、させてくださいね。5月中旬から、仙台の人に戻ります。

Posted by: ゆず | March 13, 2012 at 12:33 AM

ゆずちゃんありがとう♪
仙台戻られたらまたゆっくり、夏にでも浴衣デートしましょう♪はるが、ゆずさんと連弾できるようにピアノがんばるよ、と言ってました。

Posted by: zok | March 14, 2012 at 02:28 PM

わ!うれしい~。それでは私も、しっかり練習をしなくては。

はるくんと弾くための曲、作曲して準備しておくね~。(はるくん、タイトル、どんなのがいいかな?)

Posted by: ゆず | March 15, 2012 at 10:21 PM

ゆずちゃんありがとうございます。
はるに聞いたら、とても喜んでいて、ここしばらくずいぶん考え、やっと今日おしえてくれました。
「晴れた日のうた」はどうですか、って、ゆずさんにきいてねとのことです♪

Posted by: zok | March 21, 2012 at 01:40 PM

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