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September 05, 2009

一文字。

満月期に伴う前駆陣痛は、さあやの時にも体験したけれど、ひとまず今は一段落。
ただし、足の付け根や尾てい骨の痛み、骨盤が軋む感じと、妊娠前は毎月一度お目にかかっていた下腹部のシクシクした感じがあるので、着実に「その日」が近づいているのがわかる。

慌てて準備をしたから、辛うじて形だけ入院への備えは整った。
あとは心の準備のみ。

――そう、名前も含め。
昨晩ついに突っ込んだ話をした。
まるで逃げているかのようにその話題をのらくらかわしていた四川先生、よくよく聞いてみたらやはりやる気をすっかり削がれていた。
「もう両家に公募でいいよ」などと投げやりなことを言い出すので、私の眉根が吊り上がる。
「こちとら命張って産み出すってのに赤ん坊の顔も見ねぇうちにてめぇの役割投げ出すなんざぁ、一体どういう了見なんでぃ!」
と喧嘩っ早い火消しの若衆のように腕捲りして胸倉につかみかかり――
たいのは山々だったが、ここはひとつ穏便に進めようと、慈母観音のごとくまろやかな声で聞いてみた。
「では、あなたはなぜ、そのようなことになってしまったのでしょう?」
答えはこうである。
四川先生は、愛してやまない武将(ことに智将と名高い個人)の名を候補としてウキウキ考え悦に入っていたのだが、ご実家でご両親から問われた際に現状として答えたところ、その武将の家にまつわる(四川先生の思い描く武将の時代からだいぶ後の)良くない点を挙げられ、別の名を挙げればそれも評判が悪く否定されるので、やる気がなくなってしまったのだそうだ。

両家に公募などという事態になれば、不採用になった方は非常に不愉快になるであろうし、それが原因で上二人に注がれるような愛情が目減りしては、ただでさえ三人目で薄まっている期待と感動に水を注ぐ結果になってしまう。
断じてそんなことになってはならないと私は拳を固く握りしめつつ、なおも柔らかく慈愛に満ちた作り笑顔で、四川先生が名付けに燃えていた時のことを話題にした。
万事、計画的に。
「この間、大陸で馬に乗って草原走ってたらインスピレーションが湧いたと言っていましたが、それはどんな印象だったのです?」
「…なんかこう、雄大でさぁ、こういうのもいいなぁと思ったんだよ」
「ほほう、して、その『こういうの』とは?」
私はずい、と身を乗り出した。
「…ジンギスカンとかね」
羊肉を帽子に似た鉄板で焼く、あれのことを言っているのだろうか?
同時にジンギスカンを連呼する、腕を組んでぴょんぴょん飛び跳ねる陽気な舞踏音楽が頭に鳴り響く。
目が点になった。

――かくして、そこからまた議論は続けられ、最終的に、名前に使われる文字が一文字決まった。
この一歩はちいさな一歩だが、我々にとって偉大な一歩である。

ジンギスカンが名前にどう反映されるのかはお楽しみに。
(ドンデン返しで全然変わる可能性もあるけど?)
全部が決まる日、そう遠からんことを祈って。

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