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May 26, 2009

おみやげ

おみやげ
子育てというものにホトホト自信をなくして、疲れ果てていたある日の夕方、四川先生から電話が入った。
4月から行っている非常勤の講義が終わり、新宿までついたらしい。
「なにかいる?」
だいたい仕事帰りにはいつもそう電話をくれ、例えばこども達にコーラやクッキー、アイスなどを買ってきてくれる。
「なにもいらない」とため息をつきながら、私は大変だった1日のダイジェストをかいつまんで話した。
はるが幼稚園に行くときにぐずぐずだったこと、先生から聞いた生活の様子、サッカー教室でお友達に噛みつこうとして返り討ちされたこと。
ひと通りきいた四川先生は、なおも、なにか買っていくよ、と続ける。
「沖縄のものとかどう?なんか今売ってるんだよ」
新宿で沖縄フェアでもやっているのだろうか。
それでも「いいよ、いらない」とつれない私の言葉を軽く受け流して、
「そうだなぁ〜、かいがら、とか」
と、考えてもみない言葉を発した。

かいがら。

頭の中で、繰り返した。
目の奥で、さざ波が砂浜に打ち寄せ、小さなかいがらがくるくる回りながら波打ち際に転がっていく様が浮かぶ。

そうして四川先生は、かいがらと、島豆腐とチラガー(豚の顔の皮)をおみやげに、帰ってきた。
たっぷりのサラダと、焼きそばをつくって、みんなで食べた。
はるはかいがらを図鑑で調べ、さあやはかいがらの入った袋をハンドバッグのように持ち歩いて、昼間のことがまるで嘘のように笑いながら過ごした。

なんの役にもたちそうにないものほど、心になにか特別なものを落としてくれるものなのだ。
きれいに加工してあるわけでもない。
ただ拾って詰めました、という感じの、気取らなさ。
世界の貝の下にわざわざ高級貝、と添えてあるあたりも、なんともキッチュだ。
それでも、その気取らなさに、癒やされるような気がした。

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Comments

さすが四川先生、抜群のセンスですね~。
お疲れのzokさんに、なによりのお土産だったのでは?

子育て。
ひと一人の人生がかかっている大仕事をされているzokさん。
私からみると、本当に偉大です。

すこし休んで、また元気だしてくださいね。

Posted by: kaname | May 29, 2009 at 10:06 PM

励ましてくださってありがとうございます。
悩みは尽きないのですが、悩み過ぎなのかも、もっと大きく構えて良いのかもとも思うようになりました。
おおらかに、ゆったりと構えられるよう、がんばります~。

Posted by: zok | May 31, 2009 at 07:00 AM

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