« うるわしき兄妹愛。 | Main | めんどうをおこすんじゃないよ。 »

May 30, 2008

江戸の粋!

Sa3b0074予期せぬ贈り物が届きました!
全く驚くべきことに、婦人画報5月号「音羽屋特集」のアンケート葉書が、金屋竺仙の音羽屋特選染ゆかた地になって、私のもとに届いたのです。
後援会からの毎月のお知らせで、婦人画報での特集を知ったその日に、書店に出かけました。
音羽屋の芸と家を紹介する特集は様々な切り口から語られていて、芸についてのインタビューだけでなく、家・家族という視点からの記事がとても面白く、いつもはどうせ当たるまいと投函しないアンケート葉書にも、ついつい手を伸ばして「面白かった」の他にうきうき一言添えたくなるような印象でした。
何を書いたのか覚えてはいませんが、その特集記事がとても面白かったのは覚えています。
アンケートを書いたのは覚えていますが、プレゼントが何だったかなんて、まるきり忘れていたのです。
それが、昨日、呼び鈴を鳴らしました。

金屋竺仙といえば、江戸時代から続く老舗の染物屋さんで、特に浴衣に斬新なデザインを施して流行させた「江戸ブランド」です。
嘉永5年(1852)に創業して「浴衣改革」とも言うべき、一大旋風を巻き起こした、すごいお店なのです。
それまで棒縞か無地が多かった浴衣を、小紋調の柄に染めてみたり、染料の藍が肌について風流とは言えなかったのを、ドイツ渡りの化学染料・ベロ藍に目をつけ、汗にも溶けず洗えばさらに色が冴え日に当てても褪色しない浴衣をつくりました。
音羽屋とは縁が深く、この浴衣を五代目菊五郎(蛇足ながら、当代は七代目菊五郎です)に贈り、楽屋でも舞台でも使ってもらったそう。
当時は外出着の他に普段着として適当なものがなかったため、梨園の他、花柳界、角界などの人々に、汚れても洗いやすい浴衣はまたたく間に流行したということです。
通人としても知られ、河竹黙阿弥とも親しく、黙阿弥は初代竺仙のために『古代形新染浴衣』『島鵆月白浪』などを書き下ろして上演したこともあるとか(黙阿弥の七五調の美しい台詞回しは大好きです)。

ちなみにこの柄は「役者柄」と呼ばれるもので、名を「菊五郎格子」といいます。
カタカナの「キ」と四筋と五筋の「九」筋による格子、五筋の「五」に「呂」、つまり「キクゴロ(菊五郎)」になるというしゃれた柄。
文化・文政年間1804-29に三代目菊五郎が「いがみの権太」を演じた『義経千本桜』の舞台上で身につけて大流行しました。
江戸っ子らしい「粋」ですね。
(そうそう、遊女言葉で「呂の字」はキスのことだとか。しゃれっ気のほかに、立女形を特徴とする菊五郎らしい色っぽさも秘められているように、思いませんか?)

で。
反物がきたのは良いものの、浴衣にするには仕立てが必要――
一旦仕立て屋さんを探し始めたのですが、でもなんだかすぐに仕立ててしまうのは勿体無いような気がして、それに、当選なんて「幸運」の、縁起物のような気もして、いますぐに仕立てるのはやめました。
いえ、考えはきちんとあるんです。
なにせ「菊五郎」格子なんですから、贔屓の菊之助が菊五郎になる年の夏に仕立てようと(ミーハー?)。
今後何年先になるのかわかりませんが、きっとこの先一生見続ける、歌舞伎です。
先に楽しみをとっておいて、それまでは「家宝」として大事ーに大事ーに、させていただきます。

(※金屋竺仙については吉村武夫著『今ものこる江戸の老舗』、柄については中江克己著『文様の名前で読み解く日本史』を参考)

|

« うるわしき兄妹愛。 | Main | めんどうをおこすんじゃないよ。 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




« うるわしき兄妹愛。 | Main | めんどうをおこすんじゃないよ。 »