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April 07, 2008

じりじりしたよろこび。

080401_1622010001新しい本棚に本を並べるのは、なんと楽しいことだろう。
この段には美術の本、ここは特別に好きな小説、こちらは料理の本…と、内容を思い描きながら並べていく作業は格段に面白い。

六畳間の書斎の壁一面をほぼ覆いつくす既存の本棚は、三分の二が私の蔵書。
増える一方減ることのない棚で、一段に最低2列、文庫本に至っては3列が並んでいる。
それでも足らずに隙間という隙間に横積みしていたのだが、家の大模様替えに乗じて我が家に新しい本棚がお目見えした。
置き場所は、ベッドサイド。
うちにある家具は壁一面の本棚を除いてはどれもそうなのだが、この新しい書架も背の低い横長のフォルム。
私も四川先生も「つくり」が小ぶりなせいか、背の低い家具に安心感を覚えるのだ(と、思う)。
十の棚に区切られたダークブラウンの新しい書架は色もお気に入りなのだが、実はカラーボックスを横積みしただけの非常にリーズナブルな品である。

私の夢は「図書館のような家」に住むこと。
いつも好きな本に囲まれて、その中の世界を浮遊していたいのだ。
名前、内容、あるいは本の規格など、本棚整理の方法は人それぞれだと思うけれど、私の場合は「こんな気持ちになりたい」という非常に曖昧な「フィーリング」を軸にして整理している。
そのためか、本棚の構成を考えることは、思考回路を整えることでもある。
どんなシーンで必要になる本なのか、使い易いよう棚の位置を決め、並べる本が決まる。
ベッドサイドの書架には、「なごみ」を基軸に据えたので、何度も読み返したい小説や、ぱらぱらとめくりたい写真集、昔のことについて書かれた本(江戸時代から昭和まで)や、料理についての随想(たとえば北大路魯山人の『料理天国』とか)を並べた。

使い易い本棚は、仕事や暮らしの効率化のみならず精神的な安心感をももたらす。
だから、熱を入れて本棚構成を考えて整理をするのだけど、これが効率的どころかちっともはかどらない。
つい中身をのぞいてしまい、手が止まるからだ。

一日の終わりに感じるのは、今日も整理しきれなかった敗北感と、いろいろなジャンルの本をあちこちつまみぐい(読み?)したことによる充実感と満足感。
それはなにか、ちいさな自分の領域の中に、ひどく大きな世界につながる扉をたくさん抱えている気分だ。

この扉はどこにつながるのだったか…
一度読み終えた本でも、これから読む本でも、手に取った時に心に触れた「特定の部分」を探るようにして、作業が進められる。
だから、何日も何日もかかる。

本棚整理は、早くに終えてすっきりしたいような、ずるずるとゆっくりそのまま本の中の世界に引きずり込まれていたいような、拮抗する気持ちの奥底に、深いよろこびを感じる時間なのである。

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Comments

zokさんのように、素敵な本をたくさん、持っていらっしゃるのはいいですね。(蔵書を持てるおうちにお住まいだということもですが)

貧乏性の私は「ちょっと、いいな」と思うステキな本を買うことができません。活字がたくさん書いてある本じゃないと、数日間もたない気がして(なんて貧乏性なのでしょう・・)。
zokさんの本棚に並ぶ優雅な本たち。想像するだけでうっとりです。

Posted by: kaname | April 07, 2008 at 10:18 PM

《部屋》は住むそのひとの《頭の中》を表わす
・・・と何かで読んで ギョギョッと自分の回りを見渡したことがあります。
(我家ではそのことは今は思い出さないようにしていますが・・)
まさに書棚は持ち主の《頭の中》《ココロの中》ですよね!?
zokさんに愛されながらニコニコと納まっている本たちは幸せそう♪

Posted by: suzueri | April 08, 2008 at 04:51 PM

「活字がたくさん書いてある本じゃないと、数日間もたない」、読書家のkanameさんらしい!ですね~!kanameさんのブログの読書ノートは、とても参考にさせていただいています!読んでみたいなぁと思う本があったり、そもそも文学とは…と考える際の道しるべになったり。
文章をやりたいという割に、私はあまり読書家とは言い切れず(苦笑)、資料になるような実用書の類が多いです。お小遣いの大半は本に消えていってしまうので、蔵書だけは増えに増えてしまうのですが…。近頃急増しているのは、ここ数年ハマッている着物に関する本や江戸関係の本、あるいはデザインに役立ちそうな、そういうもの。その時々で心酔しているテーマが書架に並ぶので、本棚を見れば「今なにに凝っているか」が一目瞭然かもしれません…(笑)。
逆によほど気に入らない限り、小説を買い込むことって少ないのです。ニュアンスこそ違えど、「貧乏性」です。何度も読み返す自信がないと、なかなか手を伸ばせません。
買い求めても、気に入らなければ一度読んでおしまい、そのまま処分してしまう…まさに消費財で、非常に勿体無い気がしてしまって。そんなわけで食わず嫌いの作家が多いので、今年はそのあたりを改善しようかなと、今まで手に取らなかった作家の作品にもできるだけ手を伸ばしはじめました。kanameさんのブログ、大いに参考にさせていただいています!

≪頭の中≫≪ココロの中≫…suzueriさんのコメントを拝見して、改めて書架を見回したら、とてもとりとめのない感じがしていて、笑ってしまいました。
自分が定まっていないな、と良く感じるのですが、本当にその通りの本棚でした(笑)!
実は本棚には、小学生の時からの本があるんですよ(さすがに1、2冊ですが)。
人生の中で出会ってきた本から、必要なものだけを選りすぐって、今に至っている感じ…私の分身のようなものかもしれません(笑)。
私を作り上げているもの=書架の一冊一冊
のように思えます!
今現在の≪頭の中≫≪ココロの中≫に留まらず、過去の自分の時間や思考の積み重ねまでが、ここに反映されているということですもんね。
うーん、本棚に足を向けて寝られないような気がしてきました(笑)!

≪部屋≫に関しては…つい数日前に、たまたま空いていた玄関から我が家を覗いていた近所の子に、「なんでそんなに散らかしてるの?」と言われてしまった前科があるので………努力目標にします(笑)。

Posted by: zok | April 09, 2008 at 07:08 AM

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