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March 04, 2008

忘れられない雛祭り?!

初節句の昨日、お昼に実家の母がちらし寿司を持ってきて、さあやの雛祭りをお祝いしたまでは良かった。
その後もゆっくりお茶を飲んだりしていたのだけど、いつもより長く寝ていて、うつらうつらするさあやに微妙な違和感を感じた。
熱をはかってみると、平熱よりも高い。
夕方4時を回ったところだった。

新生児〜こどもは37.5℃までが平熱。
熱は平熱より少し高いくらいだったので、生まれた病院の相談窓口に問い合わせると、変化あるまで様子を見ていい、心配なら近くの小児科にかかってもいい、とのこと。
ほどなく熱は38.3℃にまであがり、明らかにおかしい、と実感して、近くの小児科を受診した。


開口一番、怒られた。
「こんな時間に来て、何やってんだ?もっと早く来なけりゃどこの先生も診てくれないぞ!うつらうつらする間に、あの世に行っちまうじゃないか!」
恰幅のいい中年医師は、昔からの町の小児科の二代目先生で、先代には四川先生兄弟もお世話になったという。
首からかけた聴診器は、先生が首の角度を変える度、そのたわわな肉にすっぽり埋まったり飛び出たりしている。
その外見からは想像できないほどの敏捷さで、あっという間に検査をし、結果に眉をしかめたかと思うと、大きな病院の救急センター当直医に電話をいれて、受け入れ体制を整えてくれた。
恰幅の良さは伊達じゃなく、懐の大きさでもあるんだ、と、初対面の医師に信頼と感謝を寄せるのに時間はかからなかった。
風貌が敬愛する荒俣宏氏に似ていたことを差し引いても、私は恰幅先生に全幅の信頼を置いた。
「このちっちゃな体に、通常の1.2倍の炎症反応があるんだぜ。原因を突き止めて対処してやんないと、大変なことになっちまう!時間優先、今からすぐに行って助けてやれ!」


まわされた先の病院は、さあやが生まれた病院。
そう、熱が出てすぐに問い合わせた先でもある。
様子を見て良いと言われた話を恰幅先生に漏らすと、ちょっと残念そうに「専門が違うからな、小児科が見立てると明らかに病院送りでも、そう言われることは良くあるんだ。仕方ないんだよな、そんなとこだよ、産婦人科ってやつは」とため息を吐いた。「赤ちゃんは、こんなにちっちゃい。体中にバイ菌がまわるのだってすぐだ。なにか少しでも変だったらすぐ医者にかかんないと、うかうかしてる間にこの世からオサラバしちまうんだ」
恰幅先生のこども達への大きな愛情を感じるとともに、私は、さあやが二番目だからと、自分の子育て経験をちょっと過信していたことを恥じた。
そうだ、はるの時だって、2歳過ぎまでは毎月のように、ひどい時は毎週のように小児科に駆け込んでいたのに。
「なにか少しでもいつもと違ったら、すぐに病院」
その鉄則を改めて、心持ちぐったりとしたさあやの顔とともに、心臓に彫りこんだ。


救急センターでは、血液など一般的な検査では炎症反応以外に原因が特定できず、骨髄から髄液をとって髄膜炎の可能性を調べる大仰な検査まで行った。
髄膜炎といったら、脳のすぐそばでトラブルが起こっていることになる。怖い病気で、後遺症が残ることもあるのだ。
結局、今のところ、髄膜炎の可能性は否定されたのだが、検査結果が出るまでの時間は、途方もなく長く感じられた。
氷の手が心臓をぎゅうと握り潰そうとしているようだった。
私以外に誰もいない救急センターの待合室に、お笑い番組のけたたましい笑い声だけが白々しく響いていた。


さあやと私はそのまま、敗血症の疑い、という名目で、救急病棟にいる。
炎症反応が、恰幅先生のところで検査した値の倍になっていた。
何かしらのトラブルがさあやの体の内部では起きていて、この小さな、3キロそこそこの赤ちゃんは必死にそれに抵抗しているのだ。
敗血症について問うと、血液に菌が入って悪さしている状態のことで、炎症の原因が特定できないとき便宜的に使われる病名だと説明された。
今週いっぱいは、この白い建物の中から空を眺めることになる。
一晩あけた今朝、抗生剤点滴が効いているようで、熱が少し下がってきたのが何より嬉しかった。
原因特定の検査結果が出るにはまだ数日ある。

週末、四川先生が来るのに合わせて、両家で初宮参りする予定は見送られた。
とんだ初節句になったものだ。
いや、それとも、お雛様が災厄をこの程度に留めてくれたと感謝すべきか。
最悪の状況は、ひとまず免れたのだから。
いずれにしろ、語り草になる初節句に間違いない。
将来、成長したさあやに笑い話として話すことが、今の私のただひとつの願いだ。
何事もなく退院できることを祈って、春も間近の温かな日差しと朧な雲を追う、徹夜明けなのである。

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Comments

さあやちゃんの回復をお祈りしてます!!
どうか辛いでしょうが、親子で乗り越えてね。
元気なお顔がまた近いうちブログで見れますように…

Posted by: レイコ | March 04, 2008 at 10:42 PM

ありがとう~
結局菌がまだ発見されないらしく、退院して外来で経過観察することに落ち着きそうです(てことは、結論として、原因不明なんだけどね)。
明日の夜は久々に畳の上で眠れるかも…。

Posted by: zok | March 07, 2008 at 08:34 PM

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