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January 15, 2008

晴れのきもの。

昨日は、成人式。
ちょっとお出かけをしたら、成人式帰りの、振袖姿のお嬢さんたちをたくさん見かけました。
ハレの日にお着物を着る、という習慣の、代表的なものが「振袖で成人式」ではないかと思います。

今ではお着物が大好きな私ではありますが、成人式には振袖を着なかった一人。
きらびやかな着物の海の中を、ホコモモラの赤いスーツ姿でかき分けていました。
どうも昔から、あの振袖というのは、好きになれなかったのです。
お着物が好きになった今ならどうか…といえば、やはり昨日も、ちょっと苦手だなと感じてしまいました。
振袖自体というよりも、もしかしたら、「お仕着せ感」に抵抗を示していたのかも。
なんというか、こそばゆい。
蝶よ花よと育ったわけでもないので、あまり素直じゃないせいか、「成人しました」「こんなに綺麗になりました」と飾り立てるのが、とても気恥ずかしかったのです。
(両親は、私を「鉄の女」マーガレット・サッチャー女史のように育てたかったらしい…その弊害と思われます)
「ハレ」の舞台なわけですが、どうせなら、自分が晴れ晴れしい気分になる「晴れ着」を着たらいいんじゃないか、と思って、いかにも可愛らしい振袖よりも、スーツを手に取りました。
着物文化が普段の暮らしから遠のいてしまっただけに、成人式という一日のためだけに(あるいは着たとしても数回のもののために)、お着物を仕立てる感覚が、よくわからなかったのでした。

それでも「成人式に振袖」は、本人と言うよりは家族の願望のようです。
私も、おばあちゃんがあまりに嘆くものだから、おばの昔の振袖を着せられて写真をとられたのを覚えています。
半分イヤイヤ、おばあちゃん孝行と思って従った私でしたが、いざ着物を目の前にしてみたら、心がほぐれました。
その着物には、あまり抵抗感がなかったのです。
アンティークな振袖は、柄も色も控えめで上品で、きれいなお着物だなぁ、これなら好きだなぁと思いました(でもせっかくのその時の写真、それ以来封印されています。メイクのおばさんに、あまりにも太く眉毛を強調されて、オバサンぽくなってしまったのがショックだったのです…)。
今の振袖は、きらびやか過ぎて私の目にはチカチカ映ってしまいますが、昔、着物がもっと身近だった頃の振袖は、しっとりと綺麗で、ハレの日を祝う家族の愛情そのものが織り込まれているように思えました。
もしかすると、成人式の時にだって、ちゃんと探せばそんな素敵な振袖にも出会えたのかもしれません。

結局私は、振袖のかわりに…と申し出て、両親が振袖のために貯めていたお金で、フランスに短期留学させてもらいました。
今でも母は「心に振袖を着せました」と、恥かしいことを言って歩いていますが、このときの選択はやっぱり良かったと思っています。

もちろん成人式の頃には、12年後に自分が着物をこんなに好きになっているなんて思いも寄りませんでした。
でもお着物を着るようになった今も、いわゆる着物らしい、綺麗な色や柄にはちょっと抵抗感があるのは、単に私が渋好みだからなのかもしれませんが、少しだけ、あの成人式のお着物に対する、気恥ずかしさ、こそばゆさが手伝っているように思えてなりません。
もしかすると、一生に、七五三と、成人式の3回くらいしか着ないかもしれない着物。
だからこそ、綺麗できらびやかなものが好まれるのかもしれませんが…
そんな中を、藍大島に黒繻子の帯、黒の絵羽織で通り抜けると、いろいろな意味で、「ああ、年をとったなぁ」と実感する日でありました(常々、母たちからは「あんた渋すぎ、婆ぁすぎ」と苦言をいただきます)。

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