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December 16, 2007

人生はいそがずに…

高泉淳子という女優/作家を知ったのは、今から16年ほど前に遡ります。
当時演劇少女だった中学生の私は、初めてナマで見た商業演劇の芝居にすっかり惚れこみ、取り憑かれていた頃でした。

家から片道1時間半かかる、なーんにもない山の上にぽつんとある中高一貫教育の学校(山ひとつが学校の敷地で、ほかに幼稚園、短大、大学も同じキャンパス内にありました。裏庭には池もあって、学校の周囲を歩くだけで2キロものウォーキングコースでした)に通っていたのですが、学校の最寄り駅に、演劇や音楽会を行ういいホールができてすぐの頃でもあり、めぐり合わせというか、縁というのか、ごく自然ななりゆきで、素敵なお芝居たちに出会ってしまったのです。

初めてナマで見た商業演劇は、野田秀樹率いる夢の遊眠社の『半神』という作品。
いまだに生涯第一の作品の座を降りないお芝居で、深くこころに焼きついています。
その焼きついた傷跡が疼いて、当時の私は狂ったようにそのホールの図書室に日参しては、仙台市内の青少年のために豊富に準備されたお芝居のレーザーディスクを、片っ端から見ていたのでした。
そこで出逢ったのが、冒頭の、高泉淳子。
遊◎機械/全自動シアターという劇団で、いくつものお芝居を生み出している頃でした。
高泉女史は、少年から老女までくるくると変幻して、一度で私は彼女の虜になりました。
ランドセルを背負った少年「山田のぼる」(高泉氏)と、その父親(白井晃氏)との、笑い溢れるながらもシビアに社会や家族をテーマに扱った作品は、心にずしっと重しのように残る「愛」というキーワードについて考えさせられたりしました。

よくある友人との会話から「一番好きな俳優は」と聞かれると、夢の遊眠社の浅野和之氏を挙げ、「一番好きな女優は」と聞かれると、遊◎機械/全自動シアターの高泉淳子氏を挙げていました(もちろん99%の人には全くわからない返答。1%の「わかってくれる人」にめぐりあうのは高校進学後でした)。

その後高校に進学してヴァイオリンと出会い、ヴァイオリンで奏でるクラシック以外の音楽と出会い、中西俊博と言うヴァイオリニストに出会い、(その頃夢の遊眠社が解散し)、大学に入ると、遊◎機械/全自動シアターのお芝居をみるために、夜行バスで東京に出てきたりしていました。
奇しくもその頃、高泉淳子と中西俊博が組んだ芝居+音楽の舞台「ア・ラ・カルト」が、地方の一都市にも数日間だけやってきたのでした。

それはまるで、夢のような舞台。
レストランを舞台に繰り広げられるショート・ショートのお芝居。
ハッピーで笑いに溢れ、時にほろりとさせられ、生演奏の音楽に包まれ…笑ったり、涙をこぼしたりしている間にあっという間に時間が過ぎてしまい、お芝居が終って時計を見て驚く、というのが常でした。

以来、就職や転職など、「ア・ラ・カルト」から離れて数年。
再びこのレストランに足を踏み入れたのは、そう、自分の結婚式を考える頃でした。
「ア・ラ・カルト」みたいな、あたたかくて、笑いにあふれて、わいわいした結婚式が夢でした。
四川先生と一緒に、そしてドレスを制作するために上京してくれた友人と3人で、このお芝居を観にいきました。
(…結局結婚式はプロデューサー兼ディレクター(私)の腕が悪く、思ったようにはいかなかったけれど。)

昨年から、大好きな憧れのご夫婦とご一緒させていただいており、今年は昨日がその日でした。
今は、一般発売はもちろん、先行予約でさえもなかなかチケットが取り辛いお芝居。
北京にいた私達にかわってチケット獲得にご尽力くださり、おいしいフレンチに舌鼓を打ってから、四川先生と4人でマチネーを楽しんできました。

ア・ラ・カルト、お芝居はもちろん音楽も楽しい舞台。
恐ろしい(?)ほどに色っぽい女装の歌姫、口ひげムッシュのあやしげなセクシーダンス、アフロかつらでの激しいジャクソン5ならぬギャルソン5(最後にゼエハア息切れするのがさらに面白い?)。
でもその中で私が一番好きな歌は、最後に歌われる「ア・ラ・カルト」のテーマソングです。
♪あれ、これ、アラカルト、なんにいたしましょう
とはじまる唄の中で、大好きなフレーズ。
♪人生はいそがずに、ゆっくり味わって

15年間、泣きも笑いもいろんなことがあったけれども、そういうものが積み重なって、今日につながっているんだなぁとじんわり感じる瞬間。
15年間の毎日が今日まで続いてきたお陰で、1人で見ていたお芝居が、2人で、4人で、素敵な時間を共有できるようになりました。
毎年恒例のこのお芝居、ずーっと続いてくれて、いつか子どもたちも一緒に観に行けるようになるのが、私の夢です。

人生はいそがずに。
ゆっくり味わって。
ついつい急いでしまいがちな毎日。
時間に追われてしまう中で、年末に聞くこのフレーズに、毎年目頭が潤んでしまいます。
恒例の「ア・ラ・カルト」が終ると、一年が終るなぁと実感する頃。
来年こそ、「いそがずに、ゆっくり味わって」過ごしたいと、思いを固めつつ…(これも恒例)

大好きな人たちとたくさん笑って過ごせた歳末のいちにち、
高泉女史の笑顔と体中からこぼれ落ちるハッピーなエネルギーに、今年も元気をたくさんいただきました。
しあわせな「毎年恒例」の予定。
早くも来年の打ち合わせをしながら囲むお芝居後の食卓は、「ア・ラ・カルト」の雰囲気そのままの、あたたかくてハッピーな、特別な時間。
笑って年を送ると、笑って新しい年が迎えられるような気がします。
新しい年にも、たくさんの笑顔がありますように。
そしてその最後には、また「ア・ラ・カルト」の素敵な時間に、出逢えますように。

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Comments

ア・ラ・カルト!私も高校生の時に観に行きました!!!
感動して泣いて、笑って思い切り楽しんだ舞台でした。

その後、劇団の仲間と車で一泊し東京まで
遊◎機械/全自動シアターのお芝居も観に行ったことがあります。
懐かしいなぁ。

この時期になると私と亡き父宛てで必ずア・ラ・カルトの先行予約ハガキが届きます。
難しい年頃だった私と父との数少ない観劇の思い出がその度によみがえってきて、
ポストの前でしばしハガキに目を落とし、お線香をあげるときにちょこっと報告したりしています。

Posted by: チキ | December 16, 2007 at 09:52 PM

お父様とお芝居!素敵な思い出ですね~。
難しい年頃、に、そんなお時間をご一緒に過ごせたなんて、羨ましいです。
私は、結婚して、自分の好きなものを共有したり教え合ったりできる特別なナカマを得たように思います(二人ともまるで違う生き方してきたからかもしれませんが…?)。
チキちゃんたちも、これから更に、お二人の楽しい思い出作ってくださいね~
いつかア・ラ・カルトの劇場でばったりお会いしたりして?

Posted by: zok | December 17, 2007 at 08:32 AM

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