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November 16, 2007

おそろしや。

ちゃんとした和ダンスのない我が家。
「いつか桐の箪笥を…」なんて夢みたいなことを言っている間にどんどん時は過ぎ、しかも留守にしたため着物には最悪の環境となっていたこの5ヶ月間。
ようやく片付けの手が着物類にまわり、収納を開けてみると…なんとなんとなんと、一番の「宝物」着物が、大変なことに!
母から譲り受けた、とっておきの訪問着。
それははじめて見た時からうっとりと見入ってしまうほど美しく、着る機会こそないものの憧れの一枚でありました。
クリーム色地にあっさりと、しかし丁寧に描かれた梅と紅葉の柄。そこにアクセントのように、江戸紫色の光琳菊が咲く、優雅でしっとりと美しい、大好きな着物。
そこに、ポツポツと黄色い斑点や、もやっとした黄変のシミが浮き出ていたのです。

正直なところ、これがいつ出たものかも、よくわかりません。
もしかしたら母からもらってきた時には既に、ちょっとダメージの気配はあったのかもしれません。
だけど、ここまでひどい状態ではなかったはずなのです。

頭の中が真っ白になってしまいました。
もともとこれは、祖母が母に作ってくれた着物だと聞きました。
母方の祖母は、大きな染屋さんのお嬢さんだったひと。
贅沢をする人ではありませんでしたが、日常の着物は全て大島紬だったという着物好きであり、日本画を趣味にしていた祖母が、母の嫁入りに当たって誂えたという、思い入れのある着物なのです。
祖父は母の誕生直前に他界しており、祖母は、母にとって唯一親と呼べる存在でした。
時間の経過を言い訳にしても、これは明らかに、私の管理が悪かったせい。
憧れの一枚ということを抜きにしても、なんだか、祖母の母への思い自体を自分が踏みにじってしまったようで、ひどく心が痛みました。

諦めるにも諦めきれず、着物屋さんでそんなお話をしていたら…
たまたま同じお店にいたお客さんで、お着物に詳しい方が、「黄変にも段階があるものよ。早めに悉皆屋さんに相談してご覧なさい」と教えてくださいました。
「ちょっとでも薄くなれば、大丈夫!昔の人は、毎日毎日着物着ていたんだから、ちょっとの痛みなんて気にしなくて平気よ」とも言い添えていただき、希望が見えてきた気配。
というわけで、本日早速、Webで見つけたとあるお手入れ専門店に、訪問着を託すところです。
時を同じくして、着物のための桐箪笥も(本当に桐なのか疑わしいくらい安い奴だけど)、届く予定。
着物雑誌の「収納」特集で、こんなおそろしいことが二度と起きないように、勉強中です。
ホント、着るのが好きなだけじゃいけないないと思い出した、着物生活3年目を迎えた晩秋なのでした。

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