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October 16, 2007

上海旅手帖/上海美術館へ

Sn390375上海美術館は、「建物だけでも一見の価値アリ!!!」と、福岡・アジア美術館学芸員さんから伺った、ぜひとも訪れてみたい場所だった。

建物自体は1936年に作られたとのこと、外観はもちろん、中の階段の手すりや、ドアまわりの装飾など、その場所に身を置いているだけでもうっとりとしてしまうような場所。
訪れた日は、共産党が全国から募った絵画と版画の入選作品展が開催されていた。
そして企画展はというと…エルメス×上海美術館の「シルクスカーフの旅」!
一羽の鳥が主人公となって、ストーリー仕立てになっている、とてもステキな展覧会だった。

Sn390392さて、国が変われば文化も違い、文化が違えば、美術品の鑑賞方法も違うというもの。
この日私がとても驚いたのは、上海の美術愛好家たちの姿でもあった。
1;カメラ
まず、「撮影禁止」の絵看板(カメラに×印がついている)の横で、携帯・カメラ・デジカメなどで撮影する人々。それを見ていて止めにも入らない監視員。中には、気に入った絵の前で、記念撮影する人までいる。
これは入選作品展のみならず、企画展においても同じ!
(…といっておきつつ、ちゃっかりその風潮にならって、私も写真をとってきましたが)
中には一眼レフ片手に、数々のカメラ道具を駆使して(作品によってレンズも使い分け)いる、プロ顔負けの人もあった。
2;座る
映像作品の上映は、座ってみるのが基本らしいこと。
立っている人は、移動する人のみ!
3;モノを売らない
そして、日本では企画展につきものの「図録」「物販」が、まるでない。
もしかすると、みんな自分のカメラで撮影してしまうから、図録を作っても売れないのかもしれない?なんて思わず
想像してしまうほど。
「あとで図録かポストカードを買おう」と楽しみにして、撮影を自粛した私としては、とても残念だったのだけど…。
4;人数・愛好層
この日は日曜日、しかも国慶節という秋のゴールデンウィークの最終日で、上記の企画展の最終日でもあった。
もし同じ展覧会が東京で行われていたなら、数時間待ちを覚悟しなければ入れないような規模のものである。
のに!
ゆったり見られる程度の人数しか、いないのである。
それでも一緒に歩いてくださった中国の若者は「とても人が多いですね?!」と驚いていたくらい。
こんなステキな作品群を前にして、なんとも贅沢な話ではないか…。
そして、内容が内容だったせいか、若者の姿が目立った。

Sn390379企画展の内容はというと…
謎解き形式の物語を軸に進められる展示、最初の作品は、大きな正方形の封筒。
「正方形」と聞いてピンときた方があるかもしれないが、ご想像のとおり、これがシルクのスカーフなのである。
これに限らず、展示されているものの殆んどがエルメスのスカーフ!
次の部屋では、おそらくこれもシルクだろうが、紅い紐に囲まれた中で、卵型のライトが幻想的に佇んでいる。
会場内にはところどころに紅い鳥の羽根がつけられ、道しるべになっていて、物語を記した中国語と英語の案内板が、「旅」へ誘ってくれる。

私がステキだなと思ったのは、シルクのスカーフと、それにかかわる中国の文化が一緒に展示されていること。
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例えば清代の色絵皿が一緒に飾られていたり、
伝統的な「提灯」の火屋の部分がスカーフになっていたり、
少数民族の刺繍が一緒に展示されていたり!

海をイメージした展示では、芝居の書割のような海の中、電動で動く波の間を縫って、帆船をデザインしたスカーフが、やはり電動仕掛けで揺れている。
その同室には、風水盤(風水で方角を見るためのもの)が、羅針盤よろしく展示してあったりするのだ。
エルメスがパリに馬具店を構える少し前の時代は、パリの文化人たちがシノワズリ(中国趣味)に魅了された頃でもある。パリ市内に残るある文豪の家では、一室がまるきりシノワズリだった。壁は漆黒に塗られ、景徳鎮の大きな壷が飾られ、中国美人の描かれた絵画や扇が、部屋の壁という壁に展示されていた。
この展覧会を見ていて、私達外国人から見た、中国に対する美術的な憧れを垣間見るような思いがした。

ストーリー仕立てもだけれど、いろいろと工夫を凝らした展示は、美術展を見慣れない人たちにも喜ばれたよう。
とある一室では、壁の東西がモノクロ/カラーに塗り分けられ、その丁度境目に吊り下げられたスカーフが表裏でやはりモノクロ/カラーになっていたりした。

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また他の一室では、壁一面に等間隔につきたてられた刀の間を、紅い紐状のスカーフがすりぬけていく展示も。(おそらく壁の向こう側で、磁石で動かしているのだろう?)
はるはその展示が気に入って、「ヘビ!」と言って、何度も同じ場所に立ち戻って、動くスカーフを見ていた。

そして展覧会を見終えると、四川先生からも「面白い美術展もあるんだね!」という、嬉しい一言が。
そうです、美術って、面白いものなんですよー。
これをきっかけに、家族で美術館にいける機会ができるといいなと思うのと同時に、「お休みの日には美術館に『楽しみに』行く」という親子のお出かけのスタイルができやしないかと、目を光らせる私なのでした。

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