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September 25, 2007

中秋の名月、月餅づくし。

月餅というと、中華菓子の代表格のように思えますが、本場ではこの時期にしか出回らないそう。
「中秋の名月」(今年は9月25日、今日です!)の時期に、日本で言うお中元のような感覚で、お世話になっている方に贈るものなのだとか。街の中では、いくつも月餅の袋を抱えて挨拶まわりしている様子の人たちを、よく見かけます。
それに、雑誌やTVの広告のほか、料理を食べに行くお店でもあちこちに、贈答用の月餅とパンフレットが山積みになっています。近くのスーパーの入り口付近には特設コーナーが設けられ、うず高く積み上げられた月餅の箱で、通りからは店も看板も一切見えないほどに白熱中(笑)。
西洋資本のお店でもそれは例外ではなく、スターバックスコーヒーやハーゲンダッツアイスクリームでも、それぞれの工夫をこらした月餅が扱われていて、目移りしてしまうほど!(ハーゲンダッツはパンフレットにケリー・チャンを起用していて、見た目にも素敵でした)
英語では月餅、そのまま訳してMOON CAKEというのだそう。

さてその月餅は、餡が入った中華風焼き饅頭という、私が従来知っていた形ではなく、大きさや中の餡まで、実にバリエーションに富んでいます。
本来は卵の餡が詰められるもの、とか、色々入った微妙な味が伝統的なもの、とか、香港式では餡がカスタード、なんていう話も聞きます。ホテルのパティシエたちはこぞって「ヌーベル・月餅」を開発するらしく、抹茶味・コーヒー味・ストロベリー味…なんていろいろなものを見かけます。
思わず全部食べ比べてみたい!と思ってしまうのですが、その願望こそが曲者だったりもします。
手当たり次第試したのでは、「おいしい月餅」に出会える確率は格段に下がるからなのです。

Sn390141まずは、大手の中国茶メーカー「天福茶館」の月餅を試してみました。
6個入りで、1200円~1300円くらい。
急須の形のリーフレットがかわいいです。
これは伝統的な餡のようで、食べてみたら、いろいろな味がしました。
餡がベースでほんのり棗の酸味があり、後味は黒胡麻。
…おわかりでしょうか、おいしくないわけではないのですが、結構微妙~な感じなのです。
五つの味がするという餡が、上等だと聞いたことがあります。

Sn390204続いて、近くの家庭料理屋さんで求めた、卵餡の月餅。
黄色い餡の中央には、卵の黄身がころんと据えらています。
卵餡というと、カスタードのようなもの、または和菓子の黄身餡を想像していたのですが、どうやら中華のそれは違うようです。
肝心のお味は…卵の黄身は、ゆで卵の黄身そのもので(つまり甘くもしょっぱくもない)、それが妙にエキゾティックな香りのついた白い餡の中に納められ…あとはご想像下さい。

そういえば日本人向けの雑誌に、「月餅はもうこりごりというあなたでもこれなら美味しい!」という大胆なキャッチフレーズが書かれていた月餅の広告がありましたっけ。
Sn390237そんなことを思い出しながら、月餅探訪を諦めかけた頃、お世話になっているNさんから月餅をいただきました。
流石に北京を知り尽くしたNさんのセレクトは違う!おいしい月餅でした。
こちらは、餡の中に卵が浮かび…ご覧下さい。
夜空に月が浮いているように見えるでしょう?
ああ、だから「月餅」というんだ!とようやく気づいた始末。
やっとおいしく月餅がいただけました。
先日求めたばかりの中国茶・黄金桂烏龍茶とも相性が良く、お茶のひとときを過ごすことができました。

続いて北京出身のRさんご夫妻にいただいた、北京烤鴨の人気店・全聚徳の月餅が発端となって、私は自分の犯した大きな間違いを知るとともに、目からウロコを落とすことになったのでした。

Sn390234Sn390238やはり、北京をよくご存知の方がお使い物になさるものは、おいしい、と思っていただいていたところ。
中は小豆餡ベースなのだけど、貝柱とおぼしきものが入っていて、月餅の表面には「火腿瑤柱」と刻印が目に入りました。
火腿=中華ハム。ということは、ハム味???
はたと思い当たって、箱を開けてみたら、なんと全部違う味が!
ちょっとサイズの大きいものが「豆沙松仁」「紅蓮純正」「蛋黄純白蓮」、それより小ぶりのもの(上記の火腿瑤柱もこのサイズ)「蓮蓉黄金」「藍梅」「香芋粒粒」「豆蓉玉米」「蓮蓉橙丁」「五仁火腿」「黒麻蓉」。
それでさらに、Nさんからいただいたものを再度見直してみると、こちらも全部違う味!
上記のものは「蛋蓮陶陶居」。他に「棗泥陶陶居」「豆沙陶陶居」「五仁陶陶居」(お店の名前が陶陶居というらしい)。
まさか…と思って、一番最初のお茶屋さんのものをじっくり見直してみると、どうやらこれも3味入っている様子(しかもパッケージには、さすがお茶屋さん、ベスト・カップリングのお茶の銘柄までプリントしてありました)!
食いしん坊としては、目がキラキラしてしまいました(笑)。
月餅の神様(?)、たとえ一時でも「月餅はあんまりおいしくないのかも」なんて思ってしまって、ごめんなさい。
中国の人々が食にかける情熱が、垣間見えたような気がいたしました。

漢字のお陰で、なんとなく味の想像がつくものも。
「藍梅」は、その名の通り青い梅が小豆餡に練りこんであって、とっても香り高くておいしい。
「紅蓮純正」は、蓮の実+小豆餡でしょうか、木の実(蓮は木じゃないですが…)のナッティーな感じがします。
「黒麻蓉」は、黒胡麻たっぷりで香りよく、時に胡麻の粒粒の歯ざわりも楽しい月餅。
いくら食い意地がはっているとはいえ、さすがにいっぺんに全部食べきれる量ではないので(笑)、ゆっくりいただこうと思っているのですが、おいしいお味を覚えて、帰国後、横浜中華街に出かけたら、売っている月餅の中身もぜひチェックしてみようと思います。

そういえば、漫画『マスター・キートン』の中に、月餅のエピソードがありましたっけ。
日本に隠れ住んでいた時代に毛沢東が作り方を伝えたという、干し柿を加えた月餅のお話でした。
お話がフィクションか、事実を基にしたものかませんが、今のように豊富な中華材料もない時代の日本のこと。
きっと毛沢東はいろいろ試行錯誤して月餅を作ったことでしょう。
日本で食べる月餅と中国での月餅のこれだけの差を思うと、ようやく出来上がったものも気に入ったかどうか。
秋風涼しく、清かな空に浮かぶ月を見ながら思う月餅は、きっと、なんとも郷愁をそそるものだったに違いありません。

ところで、日本で手に入るおいしい月餅の筆頭は、新宿中村屋の本店限定販売の月餅。
「王味月餅」といって、木の実や果実が入っているのです。
四川先生のお父様の好物で、一度いただいて以来お気に入りに。
以前問合せたら、本店から発送もしてくださるそうなので、お取り寄せやご贈答に良いかもです。

月餅、ひさびさに食べてみようかなぁと思った方、ぜひ今宵は中華風のお月見を!

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Comments

こんにちは。中秋の名月が近くなり、くいんしんぼの私も月餅情報を探しておりましたところ、こちらに初訪問となりました。素敵なお写真とともに丁寧なエッセイ、とても楽しく読みました。
さあやちゃんもかわいいですね。
今後も時折、訪問させてください。まずはお礼とごあいさつまで。

Posted by: simaneko | September 06, 2008 at 10:04 AM

shimanekoさん、はじめまして!ご訪問&コメントありがとうございます。日常の瑣末ごとばかりでありますが、よかったらぜひまた遊びにいらしてくださいませ~。

Posted by: zok | September 06, 2008 at 01:43 PM

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