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July 07, 2007

もうひとつの七夕。

今日は七夕。
日本の夜はいかがでしょうか。
こちら北京は、雨が降る様子はありません。
織姫と牽牛、今年は出会えそうな雰囲気です。
さて、日本の七夕という行事、もともとは中国が発端の地。
しかしながら、近所を見回す限り、ここに日本の七夕らしき風習は今日現在見当たりません。
つい先日端午の節句が終ったばかりなので、七夕にあたる行事は、少し先の話なのかもしれません。
中国式七夕は、どんな催しなのやら?

さて、七夕のお話の別バージョンとも言える、日本の古いお話があるのをご存知でしょうか?
室町時代の作・御伽草子収録の『天稚彦草紙(あめわかひこのそうし)』というものです。
私はこの絵巻物がとても素敵で、内容的にも大好きなお話でもあります。
ある長者に三人の娘がいました。
そこに大蛇が現れ、三人の娘を嫁にとると言います。
恐れた上の二人の姉たちは嫌がりますが、末の娘は気丈にも承諾して、大蛇のもとに赴きます。
大蛇に促されるままにその首を切り落とすと、中から「天稚彦」と名乗るたいそう美しい若者が姿を現し、ふたりは夫婦になります。
ある日のこと、天稚彦は「天に用事がある、もし二十一日経っても戻らない場合は、村外れに一夜杓を持っている女がいるから、一夜杓に乗って天に来るがよい。ただし唐びつは何があっても開けぬ様に」と言い残して、天に昇ります。
数日たち、娘の幸せをうらやんだ姉たちが勝手に唐びつを開けてしまいます。
そこからは、煙が立ち上るばかりで何も入っていませんでした。
二十一日経って、待ちきれなくなった娘が村はずれの女のもとで一夜杓を受け取り、天に昇ります。
行きかう星々に夫の居場所を聞き歩き、ようやく天稚彦と再開を果たす娘。
しかし、夫の父である鬼が意地悪をして、嫁いびりのような無理難題をおしつけるのです。
娘は天稚彦の知恵のもと、幾度の試練を乗り越え、夫の父はようやく娘を嫁として認めます。
「ただし、会うのは一ヶ月に一度だけ」との条件付です。
これを「一年に一度だけ」と聞き違え、鬼はそしらぬ顔をして「そうだ」。
渡された瓜から水が溢れ出し、それが天の川となって、娘と天稚彦は離れ離れになってしまいます。
以来、天稚彦と娘は年に一度の七夕(七月七日)にしか会えなくなってしまった…というお話。
(かなり省略して書いているので、興味をお持ちの方はぜひ、原本を見てみてくださいね。)

聞き違えで会う機会が格段に減ってしまう点はとても可愛そうですが、意外とこんなケアレスミスって、人生に氾濫しているものです。
天稚彦と娘の協力の姿勢が私はなによりも素敵だと思うのです。
一般に七夕と言うと縁結び的なイメージですが、天稚彦草紙の七夕物語だと、むしろ夫婦の情愛だとか協力を連想させ、そこに幸せな家庭の姿を垣間見ることができます。

絵巻物は東京・サントリー美術館に所蔵とのこと。
私は写真でしか見たことがないのですが、絶対に見たい一品でもあります。
サントリー美術館では現在、「水と生きる」展を開催中。
天稚彦草紙も、今月一杯展示の予定です。
ミッドタウンにお出かけの皆様、ぜひこの素晴らしい作品に、出逢ってらしてください。

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