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March 20, 2007

あらたなる決意にあらたまる。

実は、先日書いた「決着をつけるべき問題」に、ケジメをつけたところである。
その問題とは、21年前から渇望してきた夢、「本を刊行すること」であった。

世の中には奇特な人がいるもので、私が書き散らしたものを見て、お電話をくださった出版社の方がいらしたのだ。ある一定の時期までは勉強の身と決めているので、今はまだ時期尚早ではあった。しかし嬉しくもあったので(とても、非常に、とてつもなく。だって、目をとめてもらえたということ自体が類まれなるラッキーに思えたのだ)、少しお時間をいただいて書き上げた短編三本を見ていただいた。
最初にお電話をいただいたときも、原稿拝領というお電話をいただいたときも、手が震えた。電話を切ったあとも、しばらくの間は緊張に指先が冷たくなったままだった。

送った原稿は、その編集者の方が良しとして、出版化会議にかけてくださったという。
編集者の方の感想と、会議で出た意見などを、とても丁寧に「講評」としてまとめて送ってくださった。
良い点も課題も、存分に書いてくださっていた。
そして――

結論。
「全国流通の書籍として出版可」。

ただし、幾分かの費用負担が発生する。

「自分の本が出版される」という思い――それこそ21年間胸に抱き続けてきた強い思い――を前に、「しかしこの未熟なままで出してしまっていいのか」「出したところで売れるのか」と拮抗する思いと、ここ数日七転八倒しながら格闘してきた。
書籍化という言葉は、相当魅力的に響いていた。

だがやはり、時期尚早ではある。
浮き足立つ私を強くとめてくれたのは、旦那さんであった。
彼も分野こそ違えど書籍化を夢見る一人。それだけに、言葉もいちいち的を射ていた。
そういうわけで、ケジメをつけた。

だいたい、「生涯をかけた夢」なんて、そう簡単に実現しないほうが、夢らしい。
いつか叶えてやる、と思えるからこそ、またひとつ前に進めるのだ。

なんて、負け惜しみを言いつつ。
今日も、歩くたびに水音がするほど、カフェオレを飲んでいる。
飲みながら、突き進むべき方向を見据えている。
桜もそろそろ開花。
あらたまる春なのである。

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Comments

ええ?!せっかくのお話、先送りにされたのですか?
残念・・・。
でも私はいち読者だからそう思うのであって、
執筆家にとってはかなり悩むところなのかもしれませんね。
多くの方がzokさんの作品に夢中になって、
色々な感想を持ってくれる日がくることを心待ちにしています。
そして、見据えた「突き進むべき方向」が気になるところ。

Posted by: riri | March 20, 2007 at 10:08 AM

ririさんありがとう。
すごく悩みましたし、今も未練が全くないといえば嘘になるのですが(笑)。
でも、今私が出版するということは、たとえて言うならば、幼稚園児が東京フルマラソンに参加するようなもの。当然、スタートからわずかのところでリタイアしてしまうでしょう。参加することに意義があるという考え方もありますが、でも、どうせ参加するなら完走したいのが人情というやつ。
そのためには、幼稚園児はオトナに、成長しなければならないのです。
メルモちゃんみたいに、飴玉ひとつで変われたら、いいのにねぇ。
でも人生そう甘くはいかないので(笑)、早速次なる行動を開始します。(いつもみたいに「早っ!」て言われるかも?)
急ぐ必要もないのかもしれない、と思っています。
今は、自分のペースで、「確実に」オトナになることが、大切なのかもしれない。
緩急つけながら、猪突猛進したいと思います。亥年だし。

Posted by: zok | March 20, 2007 at 11:40 AM

>さきほどコメントくださった通行人さま

大変申し訳ございませんが、誤ってコメントを消してしまいました…。せっかくコメントくださいましたのに、申し訳ありません。
最近迷惑広告TBが多く、日に何度か消しており、こういう有様でした、善意からくださったコメントでしたのに、ごめんなさい。

>皆さま、以降TBは受け付けない設定にさせていただきます。あしからず…

通行人さまからのコメントは、つまりは「ひっかけ商法」であったろう、とのご指摘でした。
親しい人に配るなら町の印刷屋さんで低費用でできるという方法も、ご提案いただきました。
>通行人さま、ありがとうございました。

もっとも、町の印刷屋さんなどで印刷する方法と書店で全国流通するのとでは「ISDNコード」の有無という大きな差異がありますよね。
今回の件については、多少出資を伴ってもその後にプラスになる商品力が、作品あるいは作家自体にあるかどうか、が判断の肝かと思いました。
出版社の肩を持つわけではありませんが、それをうまく「利用」することだって、できるはずだと考えていました。自分で手で配るのと、書店配本されるのとでは、大きく違いますし…。しかし、そうなった場合の商品力が私にはまだないので、今回は辞めたわけですが、そういう自信が仮にあったなら、たぶん私はがんばって刊行したと思います。
小説を書いている人はほとんどみんな、趣味にとどめるつもりはないのでは。そうすると、私のように(?)全国の書店に、という部分に魅力を感じて、出版する。いざ出してみて売れない。さあどうするか。ということでトラブルになるのでは。明日はわが身であります(笑)。

とはいえ、自分の成長の限界が見えたら、私はそういう方法で出版して全てをおしまいにするかもしれません。
小説を書くことは、「文芸」というだけあって、やはり「芸」なのだと思います。芸は、磨かなければ上達しませんし、その最終的な目標は、自分で見据えたある地点に到達できるかどうか、だと思っています。もちろん他の人の目から見て全く頓珍漢なものであっては意味がありませんが…。
ひとまず、自分の芸をどれだけ高められるのか。精進あるのみ、です。

Posted by: zok | March 20, 2007 at 09:19 PM

バレンタインもうれしく受け取ったまま、音信不通になってしまっていてゴメンナサイ。ちょっと、まっててね。といいつつ、ついついコメントしたくなってしまいました。「費用負担」なしでの、またきちんと今以上に作品を評価された上での、出版という機会が、かならずや訪れることと思います。zokさんの長年の熱意を持ってしてなら、ぜったい大丈夫。「そう簡単に実現しないほうが夢らしい」私も10歳のときの夢を、最近思い出したところです。

Posted by: ゆず | March 21, 2007 at 06:04 PM

こんにちは。レスありがとうございます。
『「ISBNコード」の有無という大きな差異がありますよね』
正直申し上げて、詐欺まがい商法の出版社から出せば、ISBNコードがついていても、売れる内容であってもまず売れません。
著者の作品を磨き上げるまともな編集者や校正さん、広報担当者についてもらえないからです。無論、まともに流通もしません。詐欺まがい商法で出した本の末路は下のURLをどうぞ。

http://novelno.net/2006/04/11-093510.php
http://www2.odn.ne.jp/~cdj80950/column/n012.html

「商品力があれば出資は伴わない」これが出版の鉄則です。出資を伴わない、商品力のある作品目指して、どうぞ頑張ってくださいね。

Posted by: 通行人 | March 22, 2007 at 12:12 PM

>ゆずさん

お引越しなさったのだよね。お忙しい中のお引越し、なかなか「落ち着く」までにお時間要されるのでは、とご拝察申し上げておりました。
コメントありがとう。年末にみんなと会って以来、ますます思いを強めているところです。
いつかもっとちゃんとしたご報告ができるよう、精進します!

>通行人さま

なるほど…。
とても勉強になりました。
私はもうちょっと甘く考えていました。
たびたびありがとうございました!
ご助言、心から、感謝申し上げます。

Posted by: zok | March 22, 2007 at 12:26 PM

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