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December 26, 2006

あこがれの人がすぐそばに。

私はどうもここ数年、芸者さんに憧れている。
なんというか、粋なところや、独特の色っぽさ、自立した女というかっこよさ、などなど…。

伊豆・伊東温泉に、お座敷文化大学というのがあって、芸者さんになりきって体験講座を受けることができる。本気でこれに行きたいと思ってさえいる(その際は、先日ともに舞妓になった極楽三十路堂の面々が借り出されるはずである。諸姉、ご覚悟)。

そんな話を、ひょんなことから母としていたら…
「あら、○○のおばさんて、昔日本橋の芸者さんだったんだよ」との返事。
母方の遠い親戚筋にあたる方で、私は1~2度しか直接お目にかかったことはないのだが、驚いた。

さらに驚いたことには、もっともっと身近に、「姐さん」がいらしたことである。

母は、温泉旅館に生まれた。
家族経営のちいさな温泉だったが、戦前~戦後にかけてとても賑わい、今も地名になっているある駅は、温泉旅館にお客さんを呼ぶためにひいひいおじいさんがわざわざかけあって誘致した駅なのだという(これ、実話です)。
戦後の混乱期にいろいろあって規模がぐんと小さくなったが、今も同じ場所に同じ名前で、ちゃんと温泉旅館がある。
母は4人兄弟の末っ子だ。
上から長男、次男、長女、次女。この一番最後が母。
そのほか、祖父母の兄弟や母のいとこたちなども同じ旅館に住み込んでいて、ともに暮らしていたのだという。
その中の、Iおばさんという人は、民謡がとてもうまかった。
母の姉である、私の大好きな伯母が、Iおばさんに民謡を習っていたりしたのだという。
温泉旅館には、近所から田舎芸者なども、宴の席に呼ばれてきていたのだという。
その席に並んで、伯母も、「冷奴姐さん」として民謡を歌ったりしていたのだそうだ!!

私が芸者さんに憧れる理由に、その名前のかっこよさというのがある。
「○吉」とか「○奴」とか、もともとは江戸時代に芸者・遊女の取締りが行われ、深川芸者が男名前を名乗って男羽織を着て「男だ」と言い張ったのがそういった名前の発祥といわれているのだが、今となってはそのお名前自体がとっても粋。
前述のお座敷文化大学では、自分で好きに芸者さんの名前を名乗っていいというのがひとつの特徴でもあって、私はまだ参加の目処さえたたぬこの大学入学のために頭を悩まして名前を考えたことも1晩や2晩ではない。

しかし、そこへきて、「冷奴ねえさん」である。
それ以上のすごい名前が、もうすっかり思い浮かばなくなってしまった。
母はあの頃は大変だったけど楽しかったわという。
話を聞いていると、私にも、宴席のにぎやかさや、冷奴姐さん登場の、盛り上がる1シーンが思い浮かんでくるようで、なんだかわくわくしてしまう。
母は最近、文章の書き方の勉強を始めたそうだ。
ぜひ、その子どもの頃の、温泉旅館の楽しいことを書いて、と私はせがんでいる。
今となっては聞きたくても聞けなくなってしまった話が、たくさんある。
せめても、そういった1家族の些細な歴史を、残して欲しいと思うのである。
奇しくも、その時代は私がとても気になる時代でもある。

戦後すぐの、母達のこども時代。
きっとその頃は、ものはなかったかもしれないが、心はとても豊かだった時代なのである。

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