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July 20, 2006

ヴィーナスの貝と湘南の風。

060709_14460001先日、友人を誘って鎌倉骨董市に出かけた。
曇り空、時折空からは雨粒がこぼれ落ちて、Tシャツからのぞく腕や首筋にあたったりしていた。
昨年に比べて出店が少ないのは、天候のせいだったのか。
約半数ほどのお店が並び、こぢんまりとして良い風情だった。

以前、時間を経たものはどこか優しい風情がある、と書いたが、時間を経たもの全てが優しい風情を持つわけでもない。例えば古典『付喪神草紙』などでまみえる、つくも神(器物が100年を経て妖怪化したもの)なんかはそう優しいだけでもないし、悪さするものもある。
骨董屋の中には、そんな良いものも悪いものもどちらでもないものも同じように並んでいて、それはそれでまた楽しい。(まあ、悪いものにはそう滅多にお目にかからないが)

なにはともあれ、友人と私はアンティークのアイスクリームグラスをそれぞれ手に入れて、大満足だった。
どちらも涼しげなガラス器で、信じられない安価で手に入れられた。
友人のは透明で縁が乳白の、昭和初期のものという。
私のは時代はさほど古くないが、水色のすりガラスのもの。デッドストックだ。

軽やかな足取りで、ランチに向かう。
目的地は、湘南倶楽部だ。
ここは以前から気になっていたお店ではあって、鎌倉・湘南をテーマにしたグルメ本には必ず登場する。
その割に混みあっているわけでもなくて、オープンテラスの店内のように、風通しのいい、気持ちのいい店だ。
ハヤシライスが有名なのだけど、私達はあまりにもおいしそうな、チキンのコンフィを注文した。
皮はパリパリ、中はジューシーで、塩味がきいている。
半分ほど食べつくすまで、ほとんど会話らしい会話もせずに私達はそれを堪能した。
昼だからとアイスコーヒーを注文していたのだが、間違いない、酒好きを連れてきたら真っ先にビールを注文するだろう。

開け放たれたテラス席にくつろいで、風に涼みながら舌鼓をうつ。
なんて贅沢な時間なのだろう。

店の奥には、大きな貝があった。
ボッティチェリの名画「ヴィーナスの誕生」で、ヴィーナスが乗っているような、大きな貝だ。
ヴィーナスは愛と美と豊穣の女神だが、美しいものを手に(アイスクリームグラス)、豊穣を(美味なるコンフィ)味わった私達になんと似つかわしい(?)シンボルだろう。
本当のことを言うと、乗ってみたい気もしたが――やめておいた。
いくらなんでもおこがましいし、壊してしまったときの責任の取り方が分からないから。
どのくらい長く生きたら、こんな大きな貝になるのだろう。

湘南というと夏のイメージだが、夏に似合うお店のように思える。
それでなくてもいっぺん、雰囲気と美味なるコンフィを味わいに、覗いてみてください。

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