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May 17, 2006

おこめ焼き。

060512_17420001おいしいお店には、2通りある。
とっても美味しいから、ぜひ皆さんにオススメしたくなる場所。
それから、あまりに美味しいので、内緒にしてしまいたい場所。
後者のお店は、この相反した感情の両方を含み、自分の中でささやかな葛藤が起こったりもする。オススメしたいけど、ひみつの場所にもしておきたい――そんなちいさな葛藤。たいていそれは、ひみつにしたいけれどついつい人に教えてしまう、そんな場所になるのだが。

新たな葛藤となりそうなお店は、鎌倉駅からすぐのところにある。
日本庭園を望みながら食事をできるお店だ。
食事と言っても、懐石や精進料理ではない。
お好み焼きなのだ。

自宅を改造してお店にしてしまったというこのお店、はるとふたり中央図書館の帰りに寄ってみた。
普段は野菜などあまり食べないはるも、お好み焼きなら食べられるんじゃないかと踏んでいた。
それに私には、特別気になっているメニューがあった。
「おこめ焼き」という品である。
まず、お好み焼きを想像していただきたい。
お好み焼きは普通小麦粉などの粉で作られる。
この粉のかわりに炊き込みご飯を使ったのが「おこめ焼き」だという。

木枠にガラスがはめこまれた昔ながらの一軒家。
昭和ムード漂うこの場所には、誰か親戚など親しい人の家に招かれたようなくつろぎがある。
表面が波打ったガラス越しに眺める風景は、輪郭が少し歪んで、なつかしさを覚えさせる。
石灯篭と茂った庭木、鯉がいるという池をみつめると、こども時代が頭の片隅で動き出す。
そんなノスタルジーのせいかメニューの中からついラムネを頼み、はるにラムネの中のビー玉を説明したりしながら、おこめ焼きが焼けるのを待った。

表面はカリカリ。
中はふわふわ。
キャベツやにんじんなどたっぷりの野菜と卵に和えられた炊き込みご飯は、しょうがが少し利いて、絶妙の一品にできあがる。刷毛で醤油を塗って食べるのもまた乙なもの。

歯ざわりのある表面のおこげがはるの好みに合い、いつもは野菜を吐き出してしまうはるも、こればかりはもくもくと懸命に食べていた。
ラムネを飲み、庭を眺め、こどもとおこめ焼きを楽しんで、こころもおなかも大満足。
食べ終わってすぐにまた食べたいと思えるのは、本当においしいからだと思う。

図書館にくるときは、また寄ろうねとはると約束して店を後にした。
教えたいけれど教えたくない、それは、とっておきのお店に与えられる称号なのだと思う。

お好み焼き 津久井

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Comments

はるくん、おこめ焼きは満足したかな?
髪も切ってさっぱりしたみたいですね。
うーん、私も食したい!美味しそう・・・。
私も願わくばzokさんと一軒一軒、
気になるお店に入っては堪能したいですぅ!

そちらは時間がゆっくり流れる感じがして、
ついつい笑顔になっちゃうし。
人が人らしくいられる国、
そんな所だと思いました。

Posted by: riri | May 17, 2006 at 09:29 AM

髪きりましたよ~散髪はどうも難しくって、またまたとっつぁんぼうやになっています。なかなか上達しないもんですね。
確かに都市部に比べると、時間の流れはゆっくり目かもしれませんね。(もっとも、感じ方に個人差あるとは思いますが。)
長い歴史をもつ場所というのは、その空間のはしばしに時間のかけらを潜ませているからなのかもしれませんよ。
仙台近郊で言えば松島なんかも、私は似た雰囲気を感じます。

次回はお時間許すようなら何日かゆっくりとご滞在ください。
それで、いろいろ食べ歩きの旅にでましょう~!

Posted by: zok | May 17, 2006 at 08:37 PM

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