« 初語は「ビール」?! | Main | 魔女のレシピを入手。 »

March 08, 2006

鵺の鳴く街、北鎌倉。

北鎌倉に居を構えた敬愛する作家・渋澤龍彦の随筆を読んでいたら、家の近くで鳴く奇妙な鳥がトラツグミだった、とあった。
トラツグミとは怪鳥・鵺(ぬえ)のことだ。

鵺、とは。『平家物語』他古典文献にお目見えする、猿・狸・虎・蛇などの合成した妖怪である。天皇の御所の上を毎夜飛び回って鳴いたために射落とされてしまう。この鳴き声が鵺(トラツグミ)に似ている、という話がいつしかこの妖怪自体を鵺と呼ぶようになった。京都には鵺が射落とされた場所に祟りを恐れて建てられた鵺大明神がある。

トラツグミは、暗い黄緑色に暗黒の三日月の斑紋が全体にある小鳥で、くちばしは細長く、どことなく不気味な印象を与える。夜や曇天の時に寂しい鳴き声を出すので、平安の御世から人々に不吉な印象を抱かせしめる。

今よりもずっと闇が濃かった昔の夜は、さぞかし想像力が働くところであったろう。

そんな鳥が、北鎌倉で、渋澤の居宅で鳴いていたのだ。
本当にトラツグミだったのか、それは果たして妖怪の方の鵺だったのではないか。

もっとも、鎌倉の鵺は射落とされずに暮らしに溶け込んでいる。
鎌倉は思っているよりずっと、闇に近い街なのかもしれない。

|

« 初語は「ビール」?! | Main | 魔女のレシピを入手。 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83670/8997636

Listed below are links to weblogs that reference 鵺の鳴く街、北鎌倉。:

« 初語は「ビール」?! | Main | 魔女のレシピを入手。 »