« 雪椿朝 【俄病人入院記6】 | Main | はつはる、おめでとうございます。 »

December 31, 2005

急退院 【俄病人入院記7】

いつもと同じように目をさまし、いつもと同じように痛み止めを飲んで、朝の身支度をする。
いつもと同じように面会コーナーに豆乳を買いに行き、出会った浦島翁と少々話をする。
シーツ交換だからと病室の外に一時非難して、同室のおばあさんに地元の民俗舞踊の話を楽しく伺う。

手術後八日目、毎日と何も変わらぬ日であった。
当初はこの日に退院の予定である。
しかしながら、退院の許可はまだ出ていなかった。
痛みがなかなか取れないのもあり、傷の治りが遅いという理由と、手術時についた傷が潰瘍と見間違われていたことに起因している。

せいぜいあと1日は、ここで生活するのだろうと私は思っていた。
私だけではなく、家族も、看護婦も、皆その考えだった。

しかしただ一人、違う考えをしていた人がいた。
耳鼻科部長である。
いつものように診察を受けた私に彼は突然、「傷、きれいだから、あなたもう帰っていいよ」と言った。
「え?今日ですか?」
「うん、今日。」
悪びれもせずに彼はそう言って、次の患者を呼んだ。隣にいた主治医も面食らって、しかし上司の指示に従う。
看護婦は慌てて私の退院の手続きをとりに走り、私は主治医に欲しい薬のオーダーをし、めまぐるしい一日の到来である。

あまりに急なことだから、看護室と同室の方への挨拶用の菓子折りもないし、母は仕事でつかまらない。
浴衣から着物に着替えて、外出許可を取って自分で三越に買いに行った。
父が午後から休暇をとって来てくれることになった。
買い物から帰ってきてもそのままの格好でいると、退院のことを知らない看護婦たちは「あら、またお出かけ?」などと暢気に話しかけてきた。

父が来る頃には荷物の整理も大体ついて、あとは病院側の処理を待つのみ。
思い返せば、入院から退院までのこの12日間、いかに日常と違う世界を垣間見、体験したか。
しようと思ってできるものでもないので、なかなか貴重な日々であったように思う。

針のこと、手術以外の傷のこと、それに加えてあまりに突然の退院宣告。
笑い話のネタをたっぷりとご提供いただいたように思う。
もっとも、本人はそんな気楽な具合であっても、まわりの家族や遠く鎌倉の旦那さんは、さぞかし心もとないことであったろう。
お見舞いに来てくれた友人たち、ブログを見ながら応援してくれた人たち、皆さんにお礼を申し上げたいです。
見守ってくださってありがとうございました。


今日で今年もおしまいです。
また来年、素晴らしい出来事がたくさんありますように。
除夜の鐘で煩悩を洗い流して、新しい年をお迎えしましょう。
来年も、よろしくお付き合いくださいますよう。
よいお年を、お迎えくださいませね。

|

« 雪椿朝 【俄病人入院記6】 | Main | はつはる、おめでとうございます。 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/83670/7873197

Listed below are links to weblogs that reference 急退院 【俄病人入院記7】:

« 雪椿朝 【俄病人入院記6】 | Main | はつはる、おめでとうございます。 »