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November 11, 2005

祖父の日記。

そろそろ、祖父の3回忌。
私たちの入籍の後、披露宴のひと月前に祖父は他界した。
入籍のときには車椅子にモーニング姿で親族の食事会に出席して、スピーチをしてくれた。
体調が急変して入院する数日前、明日は結婚式だからモーニングを出しておけ、と母に言ってくれた。
本当はそのひと月後だったけれど、祖父はきっと最後まで、気にしていてくれたのだ。

あまり意識ははっきりしていませんと医師らが言う中、面会の時に祖父は私の姿を見ると、涙を流した。
その次の面会のときにはもう、目を開くこともできなくなっていた。
あの時の祖父の涙が、頭から離れない。
あれは東京から会いに来た孫への喜びの涙だったのか、
あるいは結婚式に出られないことを悟っての悲しみの涙だったのか。

祖父が入院した直後、はるがおなかにいることが分かった。
三人目のひ孫ができるんだよ、と母が報告すると祖父は、嬉しそうに涙を流したと聞いた。

昨年、出産を機に実家に滞在していた時、祖母から祖父の日記を借りた。
そこには、祖父がヨーロッパ旅行で見たこと、感じたことが綴ってある。

祖父の目が捉えたヨーロッパは、とても面白かった。
当時会社を経営していた祖父は、
東独逸の女性に「東側にも生理休暇はありますか?」と聞いて相手を驚かせたり(ちなみに自然にあるものに対して休暇があるなんてことはおかしいといわれたそうだ)、
ホテルの晩餐会で老夫婦がダンスに立つのを「はたから見ているのも乙なものだ」と眺めたり、
慣れないヨーロッパで、蛇口のひねる部分を見つけられず四苦八苦したことなどを生き生きと書き留めている。

十数年一緒に暮らしていたのだけれど、
記憶の中にある祖父は、庭いじりをしているか、自分史を書くのにワープロに向かっている姿、あるいは毎年「今年は禁酒する」と、杯を片手に話している姿。
もうリタイアしてからの生活だ。

そうではない祖父の姿の一端を、日記から窺うことが出来た気がする。
まだ東北新幹線も開通していない時代の頃の話。
祖父が感じたたくさんのことを、日記にして残していてくれたことが嬉しい。

私が書くことがすきなのは、祖父の血だ、とよく言われた。

近頃よく、祖父のことを思い返している。
杯片手に、ジョークを言って場を和ませる名人であった祖父。
「いいべじゃ」「だめだべじゃ」と仙台弁で説教する説教好きの祖父。
旦那さんとふたりで結婚の挨拶に行ったとき、なじみの寿司屋からとってくれたお寿司を、自分はひとつふたつしか食べずに「これも食べろ」「あれも食べろ」と旦那さんと私に渡してくれた姿、たぶん一生忘れないであろう。
あの、最後に会ったときの、祖父の涙も。

仏教では、四十九日の後、魂は次の生へ生まれ変わっていくのだという。
その後三十三回忌を過ぎると完全に御仏にいわゆる成仏されるのだそうだ。
年回法要は、三回忌のあとは、七回忌。少し間があく。

少し調べてみると、
初七日(不動明王)に始まり、
二七日(釈迦如来)、三七日(文殊菩薩)、四七日(普賢菩薩)、五七日(地蔵菩薩)、六七日(弥勒菩薩)、七七日(薬師如来)、百カ日(観音菩薩)、
一周忌(勢至菩薩)、三回忌(阿弥陀如来)、七回忌(阿しゅく如来)、十三回忌(大日如来)、三十三回忌(虚空蔵菩薩)まで、
彼岸についたひとたちは、()の中の13人の仏様に出会って、力をわけていただきながら、成仏をなさるのだそう。

とすると今年はおじいちゃん、阿弥陀如来さまのところなんですね。
もし鎌倉の長谷の阿弥陀如来さまのところなのだったら、
ついでにうちにもちょっと寄っていってくれないかなぁ、
なんてことを、思うのでした。

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Comments

素敵な文章にコメントしてしまってごめんなさい。。。
読んでいて涙が止まりませんでした。

私はゆいぽんを妊娠するちょうど一年前に
ずっと一緒に暮らしていた祖父を突然亡くしました。
もの凄くハンサムで、頭が良くて、優しくて。。。

当時、私は病気に苦しんでいたので心配をかけたままでした。
こうして幸せに暮らしている姿を見せたかったです。

ゆいぽんが天井のいつも同じところを「おっ!おっ!」と
指差してるんです。
私は霊感0ですが、おじいちゃんが会いに来てくれたのかな?
なんて思ってます。(実際は違うかも。。。)

きっとzokさんやハルくんに会いに来てくれる思いますよ!

Posted by: Aya | November 11, 2005 at 08:29 PM

Ayaさん、コメントくださって、ありがとうございます。
(&長々~と書いているのを最後まで読んでくださったのも、ありがとうございます!!)
突然の別れって、本当に心に深い傷が残りますよね。
本当に、いまこの幸せな姿、見せたかったなぁって思いますね。

ゆいぽん、いつも同じところを指差して、ってすごいね~。
きっとそれは、おじいちゃまですよ!!
ゆいぽんのひいおじいちゃま。
ふたりにしかわからない天使語で、おしゃべりしているのかもしれませんね。

はるも天井を見ておしゃべりしている時があるけど、場所はいつも違うような??

たしかに、Ayaさんのおっしゃるように、おじいちゃまたちを始め、ご先祖さまとか、天使とか神様とか、私たちがわからないだけで本当はいろ~んなお客様が身近に来ているのかも!
って思うと、なんだか元気をいただいたような気持ちになりました。

Posted by: zok | November 11, 2005 at 11:09 PM

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