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September 18, 2005

丘の上には…

050824_14250001鎌倉の起伏の多い道を、昔大好きだった犬のことなどを思い出しながら歩いていると、たいそう立派な門構えの御屋敷の前に出た。
建物は見えない。
しかし綺麗に舗装された道は弧を描いて奥につながっている。
両脇には蔦と、様々な木や花が、きちんと整えられていて、この奥には素晴らしい御屋敷があるのだろうと思うに足る佇まいであった。


するとその弧の奥から出てくる人があった。
御屋敷という場所柄からは連想できない、カジュアルなご婦人だった。
帽子とウォーキングシューズ、ラフなTシャツとパンツ。
立ち止まっている私に軽く会釈をして、彼女は通り過ぎていった。
ふと横をみると、看板があった。
その御屋敷は、美術館だったのである。

050824_14270001鎌倉大谷記念美術館は、ホテルニューオータニのオーナーが別荘として使っていた屋敷に作られた。
色彩の画家・デュフィの展覧会をやっているというので、早速覗いてみることにした。
私邸を美術館に仕立てた場所はいくつかあるが、この場所ほど「隠れ家」という表現に叶いながら、美術館たる風格を持った場所を、私は見たことがない。

撮影厳禁との文字がなければ、本当に美術館なのか疑わしく思って、開けるのをためらってしまいそうな重厚な木の扉。
扉をあけると体を包み込むひんやりと心地よい空気。
目に飛び込んでくる寄木細工の床。
吹き抜けに飾られたピエール・ボナールの、緑色の静謐な絵画。

展示室に入ると、左側に庭に面したテラスと、奥に小さな和室がある。
半円状のテラスには歓談席が設けられ、その真ん中から丁度よく見える位置に、デュフィの黄色いテーブルとヴァイオリンの絵がかけられている。
和室には、速見御舟の、朝顔。
二間続きの二階の展示室では洋間に障子を模した格子状の窓が切られ、今村紫紅、速見御舟といった日本画の巨匠が花鳥風月を垣間見せてくれたかと思うと、デュフィの明るい色彩が描く海辺の町が広がる。

ここは、洋と和が、美の名の下に調和している、そんな場所だ。

鎌倉を訪れた時、時間が少しあったなら、おすすめしたい。
じんわりと沁みる心地よさが、待っているはずだ。
050824_14510001

 
 
 
 
 
 
 

鎌倉大谷記念美術館

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Comments

我が旦那、昔、夏だけの鎌倉人、
だったそうな。

しかし、こういうところは、
ご存知ないようで。

いつか行ってみたいです。

Posted by: fj | September 19, 2005 at 05:49 AM

なんと!ご主人様、夏の鎌倉人であらせられましたか。
おすすめスポットございましたら是非ともご指南下さい。

この美術館は駅から徒歩で15~20分です。機会ありましたら、ぜひ。おすすめです。

Posted by: zok | September 20, 2005 at 01:30 AM

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