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September 22, 2005

静かに季節を眺める。

鎌倉は駅の改札を出て、小町通をぶらぶらと歩く。
両脇に商店が建ち並ぶ中、和装小物や骨董や、あるいは食べ物をちらちらと眺めながら、八幡さまの方へ。
真ん中頃の賑やかな界隈を過ぎて、本や工芸品などが静かに並ぶようになったら、そこを左に曲がる。
そこからは急に、住宅地。

私はその中の、ひとつに入る。
風情ある門をくぐると、日の光を受けてなお楚々とした花が迎えてくれる。
そこには少し前まで、明治生まれの画家が住んでいた。
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彼の名は、鏑木清方。
美人画や、生まれ育った明治中ごろの東京下町風景を描いた人。
私は彼の、なんとも言えない色彩の運びが大好きだ。
華やかなようで清楚で、
大人しいようで大胆で、
しっとりと空気に溶け込むような、
そんな色を彼は描く。
そこには美しい人達がいる。
きらびやかな人でも高貴な人でもない、そこにいるのは、私達のすぐ隣にもいそうな市井の人たち。
だが彼らは、画家の手を通して、美しい人となる。
画家の感性が、なにかを転換しているに違いない。

画家の家はそのまま美術館となった。
彼が愛した庭が、画家が見ていた時そのままに美しく手入れされている。

ここでは季節に合わせた展覧会を催している。
画家が見た季節を、彼の絵を通して、静かに眺めることができる。
そこに描かれる季節の風景は、今では変わってしまったものも、変わらないものもある。

心の動きを呼び醒ますのは、
自然の流れそのものなのか、普遍的なものなのか、懐古的なものなのか。
その動きを求めて、
季節が変わるのを感じるといつも、
私の足はおのずとここに向く。

鎌倉市鏑木清方記念美術館

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Comments

鏑木清方・・・
いいですね~。

そこに足をむける貴方さまも、
どうしてなかなかに
感性豊か、と感じ入ります。

Posted by: fj | September 23, 2005 at 01:07 AM

いつもありがとうございます~
励まされて元気出ます~
旦那さんがこどもを預かってくれるときは、躍起になってリフレッシュしているので(笑)あちこち歩いています。

ところで、最近、好きだな~と思う感じのものは、どれもひとつのライン上にあるということがわかってきました。
今、私用名詞に使っているのは鈴木春信の絵なのですが、どうやら鏑木清方氏も鈴木春信の系譜の絵描きさんだとか。
他にも、昔読んでいたニッチな西洋美術の解説を書いていた心の師匠が、なんと最近読んでいる妖怪関係の日本美術にも明るくて解説なさっているとか…
長年生きてきたなぁと(笑)、まだまだ未熟者ながら感慨深いです。好きなものってやはり、どこか通奏低音でつながっているものなんですね~…

Posted by: zok | September 24, 2005 at 01:15 AM

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