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August 02, 2005

夏の思ひ出。

夏、といえば。
皆さんはどんな思い出がありますか?

私には、忘れられない夏があります。
山形で過ごした、最後の夏。
それは、スイカを丸ごと一つスプーンで食べた夏…。

私はスイカが大好きでした。
それはそれは好きでした。
山形には尾花沢というスイカの名産地があって、そこの甘くておいしいスイカには目がありませんでした。
その頃の私には野望があって、御行儀こそ悪いけど一度、二つ割にしたスイカをスプーンですくって食べてみたいと思っていました。
週に何度か、トラックの荷台にスイカをぎっしりのせたスイカ売りがやってきます。
このスイカを食べられるのも今年が最後と、千円札を握り締めて私は、スイカ売りのおじちゃんに声をかけました。

お値段は確か、1000円、1500円、2000円。特別大きいのは3000円。
一番ちっちゃいのでいいです、と言って私は1000円札を差し出しました。
代わりにおじちゃんが差し出したのは、2000円クラスのスイカ。
驚いて顔を見上げると、おじちゃんは白い歯をむき出してにっこり笑っている。
彼なりの貧乏学生への思いやりなのだと知りました。
でも…こんなに大きなスイカを、ひとりで???

とはいえおじちゃんの思いやりです。無駄にはできません。
大きくて冷蔵庫にも入らないスイカを冷水を張った湯船に浮かし、その晩、念願かなって二つ割りのスイカにスプーンを差し入れました。
甘い汁が滴り、しゃくしゃくとスイカは、口の中にとけました。
いくら冷水につけていたとはいえ、冷蔵庫のようには冷えていない、生ぬるいスイカ。
そして、食べても食べてもいっこうに減らないスイカ。

2日かけて、執念で(というかほとんどヤケ?)一つ食べつくしました。
その翌年からしばらくの間、私は夏になってもスイカを食べなかったのでした。

ちょっと大き目のホールサイズのスイカを見るたびに私は、
あの生ぬるい、美味しいんだけど嬉しいんだけどどこか苦痛な、スプーンとスイカの日々を思い出します。
若気の至り、ほろ苦い(?)青春。

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