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August 18, 2005

天麩羅の技術。

先日、久々に天麩羅をあげました。

私の天麩羅の腕前は、自分で言うのもなんですが、なかなかのものでした。
十数年前は。

天麩羅のあげ方は、旅館の女将さんだった、母方の祖母に習いました。
忘れもしない、高校生のとき。
夕方メモを握り締めて材料を買いに行って、大皿に2つも天麩羅をあげたのを覚えています。
(父のために変り種としてザーサイの天麩羅をつくり、油がはねて、額に1円玉大の火傷をしたことも…乙女心になかなかのショックでありました)

「こわがると油がはねてくるからね、油をこわがらなければはねないんだよ」
と言いつつ祖母は、サクサクの天麩羅のあげ方を伝授してくれました。

「種のふちの油の泡が細かくなったら裏返して、温度が上がってきたらまわりに『花』をつけて…」
久しぶりに天麩羅をあげていると、あのときの祖母の声が聞こえてくるようです。
大島紬に白い割烹着を着て、いつも優しいまなざしを向けていてくれた祖母のやわらかい声が、私は大好きでした。

祖母が亡くなって、11年。
なんとなく祖母のことを思い出して悲しくなってしまうので、少し敬遠していた、天麩羅。
久しぶりに作ってみたら、やっぱりあまりうまくはあげられず、あげ過ぎてしまったり、逆に中まで火が通っていなかったりの大失態でした。祖母には見せられないような「作品」ばかり。
せっかく祖母が私に伝えてくれた技術。
リハビリして、あのときのような、おいしい天麩羅をあげられるように腕を磨こう。

気づけば、奇しくも、それは祖母の命日の翌日でした。
祖母が、天麩羅を通じて、私に会いに来てくれたのかもしれません。

またそのうち、祖母(の思い出)と一緒に、からりとした天麩羅をあげよう。
種のふちの油の泡が細かくなったら裏返して、
温度が上がってきたらまわりに「花」をつけて…

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Comments

とても素敵なお話、思わずジワ~っときてしまいました。
私はある事件で10年も揚げ物が食べられなくなっていましたが、最近は徐々に完治しつつあり、自分でも下手ながらナスやかぼちゃを素揚げしてパクついてます。天ぷらの美味しさもようやく楽しめるようになったので、どうかどうか、zokさんの天ぷらを賞味したいものです。
あ、もちろんリハビリ終了後で。。。

Posted by: riri | August 18, 2005 at 09:45 AM

ぜひ食べにいらしてください。
うまくなったら!

小津安二郎監督曰わく、天ぷらは酒とともにやるのが一番。
美味しいお酒も用意しておくよ。

Posted by: zok | August 18, 2005 at 11:33 AM

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