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July 20, 2005

骨董屋カフェの休日。

PA0_0001鎌倉の繁華街から路地を入ったところに、気に入っているカフェがある。
ほの暗く、中は古くて心地の良いもの、手なじみの良いもので満たされている。

買い物途中などにふらりと立ち寄り、無数の傷がついた(しかし、その傷も含めて愛でられている)テーブルと椅子に腰をかけてひと息つく。温野菜ランチセット、か、梅昆布茶セット、で迷う。迷った挙句、カレーセットにした。…なんとなく。
店の一角は、生活骨董を集めたすてきなコーナーになっている。値段も割と手ごろ。
18年ほど、ひいきにしている店である。(…いまあなた、引き算しましたね。)

そう、当時私は東北在住の中学生。
鎌倉のことなんて、社会の教科書程度にしか知らなかったけど、この店のことは小説で知って、ずっと憧れていた。連載もの少女向け小説コ○ルト文庫で、小学校の頃から読み続けていたシリーズのものに登場するのだ。そこは、こども心にもロマンの香りのする店だった。初めて足を踏み入れたのは、それから約10年後。
イメージよりもずっと古びていて、その古びた加減が他のどこでも味わえないような雰囲気をかもし出していた。
…以来、鎌倉を訪れると、おのずとここに足が向く。

カレーが運ばれてきた。
骨董屋カフェのカレーは、さらりとしていた。
野菜から出たであろう、自然であっさりした甘みに、ほろりと崩れるひき肉(たぶん自分でミンチにしている肉)の風味が心地よい。そして、ほのかに山椒の香り。さがしてみると、中華料理で使われる実山椒がひとつぶ、姿をあらわした。和とも洋とも限定できない、なんともユニークなカレー。スパイスの味はするのに、辛くはないカレー。気づかないうちに汗をかいていたのだろう、扇風機の風がひんやりと感じられた。

最後のひとくち、ふたくちを食べる頃、空いていた隣の席に二人連れの中年男性が座った。

ひとりはビールを注文し、もう一人は店員にパフェの種類について詳しく聞く。
「パフェは何のパフェ?」
マンゴープリン、と店員が答えると、チョコレートパフェはないのか、と聞き返す。ないという返事に、今度はプリンセットの、プリンとプリンアラモードの違いは何かと聞いている。次にセットになる飲みものを確認すると、それを聞きつけてビールを頼んだ先の紳士がウィルキンソンのジンジャーエール、辛い奴に変えて、という。
こだわりの店には、こだわる客が来るものだ。
中年紳士であっても、辺りを気にせずに、パフェを気軽に注文できる店。
なかなか素敵ではないですか。

デザートに、赤い江戸切子のぐい飲みに入ったマンゴープリンが運ばれてきた。
煤けた壁と、深い茶色のテーブルに、コーヒーの黒に近い茶と、赤い器に入った黄色のマンゴープリン。
なんとも粋ではないですか。

こういう気風を、ぜひ身につけたいものだと思う、休日なのでした。
(芝居がかって書いてますが、これ、実話です)

ミルクホール
とくにオススメはこのページ。きれいなものが見たいひとへ。

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Comments

うらやまし~。・゚゚・(>_<)・゚゚・。わたしもこんな素敵なカフェに行きたいよう…
最近というものめっきり喫茶店から遠ざかってしまっていたなー…。私もどちらかというと、こういう昔からやってる、こだわりのマスターとかいちゃって、妙に落ち着く古風なカフェが大好きなのよ。
やっぱりこういうところって、大人の空間を楽しむべきところだから、子連れだとどうしてもね…。
仙台帰って一人になれたら、昔通ってた喫茶店で時間をゆっくり過ごしてみようかなー…なんて。

Posted by: レイコ | July 21, 2005 at 12:59 PM

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