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February 28, 2005

たんじょうび。

今まで過ごしていた誕生日は、ことごとく自分を甘やかす日であった。
勤めている時であれば休暇をとり、退職してからは家事をせず、たいていその日には、美術館へ行く。

お目当ての展覧会がない場合は、空間自体が気に入っている美術館へ足を運ぶ。
そこでミュージアムショップを物色し、今後の展覧会情報などのチラシをどっさりともらってきて、カフェで友達に手紙を書いたり、もの思いにふけったり。
東京都庭園美術館
BUNKAMURAミュージアム
国立近代美術館
東京ステーションギャラリー
たいていはそのどこかにいた。

今年の誕生日は、こどもがまだ小さいからそうもいかない。でもきっと来年は、はると一緒に美術展に出かけているのだと思う。

私にとっての「誕生日」はこと特別な日なので、そのときに見る展覧会には、ある種そこからはじまる1年の期待のすべてをかけているため、選定基準はおのずと厳しくなる。そんな中、きっと生涯忘れえない展覧会がある。
2年前の、国立近代美術館での展覧会だ。
いわゆる現代アートの展覧会だった。
例えば、床一面に正方形に撒かれた黄色い花粉。
正方形の輪郭は曖昧に床に溶けて、黄色い花粉はヴィヴィッドなのに柔らかい色彩を目に突き刺してくる。見つめれば見つめるほど、わからなくなってくる。時間や、現実のことや、その他のなにもかもが。輪郭をずっと見つめているときの感覚は、朝まだきの夢とうつつを行き交う気分に似ている。そして、床の方が現実なのか、花粉の正方形の方が現実なのか、一瞬の混乱。こころそのものにスクランブルをかけて再構成される。なにかとてもピュアなものが自分の中から抽出されて、こころの中に「好ましい場所」を作り上げてくれる。
会期中、なんども足を運んだ。
(参考:ウォルフガング・ライプ展)

これから先、どんな素敵なものに出会えるのか。
そう思うと、ますます年を重ねるのが楽しみになる。

<蛇足>
ちなみに、今年誕生日に出かけるとしたら、
ミュシャ展(東京都美術館)
食と現代美術(BankART1929)
のどちらかだったと思う。
ミュシャ展は既に観てきた。財団秘蔵の品がたくさん出ていて、チェコから出ないだろうと聞いていた15年ほど惚れ込んでいる絵の現物にとうとう対面!感涙でした。BankARTの方は今週末にボランティアスタッフ参加を希望中。どんな展覧会なのか楽しみだ。

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